ネコはミカンを片手に夜明けを待つ

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超獣戦隊ライブマン第9、第10話感想 

第9話 作品情報

超獣戦隊ライブマン
第9話『バラよ熱く香れ!』

放送日:1988年4月23日
監督:長石多可男
脚本:井上敏樹

登場怪人:タンクヅノー

あらすじ

めぐみの友人・ゆかりの結婚式に現れたマゼンダ。タンクヅノーの作らせた香水「ラブトワレ」でゆかりの婚約者を自身の虜にしてしまう。

マゼンダの狙いはラブトワレを大量生産し、世界中の男を自分の操り人形にすることだった。

感想

「鳥人戦隊ジェットマン」で戦隊に新風を巻き起こし、第一期平成ライダーで数多くの作品に参加した井上敏樹氏がライブマンに初参加した今回のエピソード。

脚本家が違えど、香水というマゼンダにまつわるアイテムを拾い上げ以前の話から無理のない繋がりを感じられた。

めぐみの友人・ゆかりの結婚式に参加する勇介達。友達の友達の結婚式に参加することはあまりないと思うが、万が一にも事件が発生した時のために三人で行動しているのだろう。

ケンプやオブラーは愛を「低俗、不必要な感情」と言っているが、彼らのナルシストな態度も自己愛という愛の一つだろうと思った。

天才というキャラクターだからかもしれないが、ボルトに寝返った三人は遠くの目標ばかり見つめて今いる場所や自分自身をよく見ていないように感じる。

それと対になるのが今を見つめ、今を全力で生きるライブマンの三人だ。

ラブトワレを生産するには大量の石油が必要。マゼンダはガソリンスタンドを襲う。

ガソリンは加工された石油。なのでこの場所に来るのは間違ってる気もするのだが……

ツッコミどころはあるものの、今回の話は科学で愛を作れるかがテーマとなっている。

マゼンダのやってることは完全に洗脳なのだが、例えばマッチングアプリのように恋愛のあり方もライブマンの頃とは随分変化した。

科学が良い方向に恋愛に活かされればよいのだが、よく都市伝説の番組で特集されるように遺伝子などでカップルを決める未来も近づいているのかもしれない。

だが、どんな形でも最後に大切になるのは人の心だということを見終わった後に感じた。

思えばジェットマンで、敵の幹部にされてしまったマリアを人間に戻したのもレッドホーク・竜の愛だった。

作風は変化球のように見えて実は王道的な熱い展開。こうした部分が井上脚本の魅力だと思う。

映像的にも攻撃を受けて首だけになったジンマーが攻撃する場面や結婚式のために正装する勇介達など、これまで見られない描写があり面白い。

女心がわからないと丈をひっぱたくめぐみや、ラストの三人での掛け合いなどいつもにも増してフレッシュさを感じるライブマンが見られた話だった。

第10話 作品情報

超獣戦隊ライブマン
第10話『スケボー迷路破り』

放送日:1988年4月30日
監督:山田稔
脚本:曽田博久

登場怪人:メイロヅノー

あらすじ

ピサ屋を営む姉弟と知り合った丈。姉・陽子に心惹かれた丈はスケボーでピザを配達し店を繁盛させようとする。

その頃ボルトは、頭脳獣メイロヅノーを使い街を迷路に変え人々を混乱させようとしていた。

感想

脚本はライブマンのメインライターである曽田博久氏。

丈の特技であるスケボーがアイテムとして活かされた話だ。

前回は無理矢理マゼンダに心奪われてしまった丈だったが、今回は真っ当な女性に心惹かれる。

勇介は5話で少年の思いに奮起したが、丈は女性の笑顔に奮起している。

男性メンバーの個性が見えて面白い。

街を迷路に変えるという今回のボルトの作戦。メイロヅノーの科学力は凄いのだが、作戦内容は凄いのか凄くないのか微妙なところ‥‥

とはいえ、メイロヅノーはその能力を活かしたトリッキーな戦法でライブマンを苦しめ強敵感が出ていて個性的だった。

こういうトリッキーな敵というのは、まるでジョジョの奇妙な冒険な冒険に出てくるスタンド使いを彷彿とさせる。

メイロヅノーに対抗するためにジェットスケボーを開発し、丈に渡す勇介。

てっきり丈が開発すると思っていたので意外な展開。

さらに意外な展開は続き、負傷した丈の代わりにジェットスケボーでメイロヅノーに一撃を加えるのはピザ屋の少年である真也だった。

ゲストキャラをただ登場させただけに終わらない脚本に好感が持てる。

同時に、ボルトが忌み嫌っている普通の人間でも天才に負けない力を持っているというメッセージ性を感じる。

確かにケンプ達は天才かもしれないが、好きなことを突き詰め努力した成果は歪んだ天才などに負けはしないのだ。

グレかけていた真也も丈の姿を見て改心する。

恋をしている暇はないと二人に別れを告げる丈。

前回の結婚式もそうだが、平和な一般人の描写があることでそれを守って戦うライブマンの孤高さと気高さが表現されている。

最も、丈のコミカルな演出で終わるので押し付けるような重さを感じなくていいのが親切だ。

この時点の勇介はまだ成長途中の若者だが、ジェットスケボーを丈に与える場面など後半強められたリーダー性の片鱗が描かれている。