ネコはミカンを片手に夜明けを待つ

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超獣戦隊ライブマン第35~第40話感想

第35話作品情報

サブタイトル勇介とケンプの約束!!
放送日1988年10月29日
監督東條昭平
脚本藤井邦夫
登場怪人ギルヅノー

あらすじ

4年前、ケンプと約束を交わした勇介。夢を持っていた二人の若者が今激突する。

感想

作中と実際の放送日が連動している回。4年前、10月29日に再び会おうと約束していた勇介とケンプ=月形。

しかし、その勇介の行動が新規加入した二人と対立しライブマンに不和をもたらしてしまう。

二人の気持ちは分からなくもないが、勇介はケンプを許すとか認めるとかそういったことを言ったわけじゃなく思い出を語っただけ。

まあ、肉親を殺された身からしてみればその仇にわずかでも肩入れするような空気を持った相手は不信に思うだろうな。

約束の場所に一人で赴く勇介。そこにケンプも来る。ギルヅノーも一緒。

戦いの中、場合によってはケンプもろとも勇介を抹殺するようギルヅノーに命令するビアス。

作中の時系列でも半年以上ライブマンに手こずっているばかりか、渾身のギガ計画も倒され戦力の増強までされたのだから徐々に余裕も無くなってきたのかもしれない。

攻撃に巻き込まれ、二人で海に落ちる勇介とケンプ。流れ着いた海岸で先に目覚める勇介。

まだ気を失っているケンプにとどめを刺そうと首を絞めるが、結局思いとどまる。

子どもがメインターゲットの番組としてはかなり重い演出。悪役がヒーローにやるのならわかるが、ヒーローの方がこうしたことをするのはかなり珍しいのではないだろうか。

何故殺さなかったと尋ねるケンプに、正々堂々と戦って倒すと答える勇介。

一見どうやっても結末は同じに感じるが、そこに至るまで卑怯なことをしないのがヒーローと悪役の差。確かに、現実的に考えれば今が絶好のチャンスだっただろうが、それではボルトと変わらないだろう。

他のライブマンと合流し、ギルヅノーを倒す勇介=レッドファルコン。一方のケンプはビアスから「見苦しかった」とまで言われてしまう。

ケンプは屈辱だろうが、その見苦しさがあるならまだ引き返せるかもしれないと僅かな希望も感じるがケンプに待ち受ける運命は……

第36話作品情報

サブタイトル激突! 友情のタックル
放送日1988年11月5日
監督東條昭平
脚本井上敏樹
登場怪人ヨロイヅノー

あらすじ

純一の母校のラグビー部を襲撃するマゼンダ。純一はヨロイヅノーを倒すために特訓を開始するが……

感想

純一の来歴が描かれる回。もう後半戦に入り、話数が限られた中でもこうした話があることは嬉しい。

脚本は仮面ライダー555などでの重い人間ドラマが印象的な井上敏樹氏だが、今回は爽やかな青春ドラマに仕上がっている。

冒頭でいきなり純一の母校に来ているライブマン。どういういきさつだったのか? 純一が久しぶりに来たいとでもいったのだろうか。

そこにいきなり耕運機のようなものに乗って現れる少年。実は純一と同じく元ラグビー部だったが、試合中に純一を接触したことで怪我をしていた。そのためラグビーができなくなり純一を恨んでいる。

怪我が原因でラグビーができなくなったのかと思ったが、実はそれは嘘で本当は怪我の恐怖心でラグビーができなくなっていた。

若いということなんだろうが、騒がしかったりシリアスだったりと忙しい少年だなあ‥‥‥

そんな中ボルトが登場。今回の作戦はラグビー部を操ること。これにより攻撃ができないライブマン。

この事態の突破口は、ヨロイヅノーの触覚を壊すこと。そのために爆弾を作り、触覚に当てる訓練をする純一。

この時点で純一は怪我をしてるので、無理をせず他のメンバーが別の手を考えてあげたらいいのに。

特訓内容は、ヒーローで特訓といえばこれだろ! でお馴染み(?)の岩石落し。

最近(2020年)であれば福岡のローカル特撮番組「ドゲンジャーズ」でエルブレイブがやっていたなあ。

純一の立場で考えてみれば、自分の学校の仲間のことは何としても自分で助けたいという思いがあったのだろう。

そしてヨロイヅノーとの再戦。わかっているというか、お約束というか、純一と怪我をさせてしまった少年が力を合わせてヨロイヅノーに立ち向かい見事に触覚を破壊する。

ここに二人の友情は甦るのだった。

メンバー最年少で、何事にも一生懸命に取り組む純一の姿が印象的だった。恐らくサイというモチーフから純一の特技は、突撃すること=タックル=ラグビーと考えられたのだろう。

亀裂の入った友情が再生する姿は、勇介達初期メンバーとケンプやマゼンダ達の関係と対比になっているように感じた。

第37話作品情報

サブタイトル16才ケンプ恐獣変身!
放送日198811月12日
監督長石多可男
脚本曽田博久
登場怪人サメヅノー

あらすじ

パワーアップを試みるケンプは、その過程で16歳の時まで精神が戻ってしまう。めぐみは何とかケンプを悪の道から救おうとするが……

感想

数話前から描かれていたパワーアップを試みるケンプの姿。今回でそれが実現され、美獣ケンプから恐獣ケンプに進化する。

ボルトの成績発表で最下位となるケンプ。前々回といい、確かに初期に比べると弱々しい一面が見えるようになってきた。

最も、他のメンバーを成果というほどの何かがあったかと思い返すと特別そんなのも無い気が……

まあ、ギルドスとブッチーは彼らの真実を考慮すればビアスがわざと上位にしたのかもしれない。

恐獣ケンプに進化するために巨大な貝殻の中に入っているケンプ。とてつもなくインパクトのあるビジュアルだ。

めぐみによって実験が中断されたことで、精神が16歳まで戻ってしまったケンプ。

全裸でめぐみの前に現れるシーンは、ケンプを演じる広瀬さんも大変だっただろうな……

そんなケンプを悪の道に進ませまいとするめぐみ。制服を着て16歳の気持ちに戻りケンプに接する。

ところがケンプは、この頃からすでに勉強が第一でその他のことは見下す性格を持っていた。

これまでも断片的に描かれてきたケンプ=月形の過去の姿。決して極悪人というわけではないのだが、やはり人を見下す性分は昔から持っていたことが発覚。

それでも諦めずに接するめぐみによって人間らしい心を持ちかけたケンプだったが、不幸な偶然から本当の記憶を取り戻し遂に恐獣ケンプに進化してしまう。

めぐみの制服シーンなど見どころは多いが、また一つケンプが引き返せない段階に進んでしまった絶望で今回は幕を閉じる。

ケンプがここまで勉強第一になってしまったのは何故だろう? そこまで描かれればケンプを救う手立てがあったかもしれない。それこそオブラー=尾村豪のように。

ただ、もしかしたら深い理由はなく単に勉強が第一という社会や周囲の大人の声でああなってしまった可能性もある。

あくまで秀才だった豪と違い、本当に天才だったこともそれに悪い意味で拍車をかけたのかもしれない。

なまじ能力が高かったばかりに。16歳の時の状態のケンプを作り出すような社会が、もしかしたらボルトより恐いのかもしれない。

第38話作品情報

サブタイトル動く破壊兵器マゼンダ
放送日1988年11月19日
監督長石多可男
脚本曽田博久
登場怪人ウルフヅノー

あらすじ

さらに機械化を進めパワーアップしたマゼンダ。執拗に勇介を付け狙い、恐怖の時が過ぎてゆく……

感想

冒頭、雨の中何者かから逃げる勇介。いきなりホラーチックな演出で展開される強化マゼンダのエピソード。

この回は勇介役の嶋大輔氏が終始、マゼンダだから逃亡するために激しいアクションに挑戦している。

追加メンバーも加わり、勇介が以前よりリーダーとしての頼もしさを見せるようになっていただけにマゼンダに怯える勇介の姿が衝撃的。

そして、その勇介を追いかけるマゼンダの姿は映画「ターミネーター」第一作に登場したターミネーターT-800を彷彿とさせる。

最も、勇介の逃走はマゼンダの武器を使い切らせるための作戦であったことが明かされてからはいつものように明るい雰囲気を作品が取り戻す。

それにしても、勇介が研究していた防弾チョッキのおかげで今回は助かったがもしもマゼンダの破壊力が防弾チョッキを上回っていたらどうするつもりだったんだろうか?

ウルフヅノーを倒してほっと一息もつかの間、鼬の最後っ屁とばかりにマゼンダがミサイルを発射。

見てる側からしたら見苦しい姿だが、あのプライドの高いマゼンダがこんなことまでやる姿に彼女も追いつめられ始めているのを感じる。

敵幹部もパワーアップを果たし物語は次回へ。

第39話作品情報

サブタイトル守れ! 宇宙の一粒の命
放送日1988年11月26日
監督東條昭平
脚本藤井邦夫
登場怪人インセキヅノー

あらすじ

丈は偶然、消滅した星から来たという宇宙人に出会う。その頃ボルトは、隕石から固い体を持つインセキヅノーを作り出した。

感想

未来人に続いて今度は宇宙人と心を通わせる丈。そういう人達を引き寄せる体質なのかどうかわからないが、それを受け入れるだけの度量を持った好漢だ。

ドーハ星人のことをギルドス達は知っていたようだが、彼らの秘密を考慮すると矛盾が生じる。

もしライブマンが過去の戦隊と繋がった世界観なら、宇宙からの侵略者もたくさんいたから宇宙人がいることに違和感はないだろうが……

考えられるとしたらビアスが宇宙の観測もしていたのだろう。もしかしたら、地球を征服した後は宇宙まで侵略するつもりだったのかもしれない。

そのドーハ星人のエムは、故郷が存在した証として平和のシンボルの種を地球に持ってきていた。

エムの思いに感動するが、勝手に別の星の植物を地球に植えるのはどうなんだろう? 生態系を壊したりしないんだろうか?

まあ、エムの人柄を見るにドーハ星人は真面目な人達っぽいので環境のことは十分考えた種だったと思いたい。

インセキヅノーはライブマンの科学でも太刀打ちできず、エムの犠牲があってどうにか勝利することができた。

何気に、もしかしたらギガボルトに匹敵するピンチだったかもしれない。

ラスト、無事に種が根付いたことが示唆され物語は終わる。

今回は宇宙人を通して命の尊さが描かれた。よくシリアスといわれるライブマンだが、作品全体を命というテーマがしっかりと貫いているのでやはり多くの子ども達に見て欲しいと思った。

第40話作品情報

サブタイトル恋!? めぐみと宝石泥棒
放送日1988年12月3日
監督東條昭平
脚本井上敏樹
登場怪人スペースヅノー

あらすじ

パトロール中に宝石泥棒の青年・史郎と出会うめぐみ。史郎が手に入れたルビーをボルトが狙う。

感想

宝石泥棒・史郎の言動は「鳥人戦隊ジェットマン」に登場する結城凱を彷彿させる。

脚本家が井上敏樹氏だからなのだが、史郎の方が凱よりもう少し軽い印象を受ける。

孤児院の子ども達のために泥棒をしていた史郎。彼以外の大人が見当たらないが、他の職員はどうしたのだろうか。

「人の物を盗ってはいけない」と子ども達に教える史郎。

お前が言うかと突っ込みたいが、自分のやっていることを理解した上での言葉だと思いたい。

今回の頭脳獣・スペースヅノーはまるでランプの精のようにルビーをこすると登場するというユニークな怪人。

しかし、一般人が簡単に呼び出せてしかも命令まで聞いてくれるのだからボルトのセキュリティはザルだ。

もしかしたら改善する前にルビーが史郎に渡ってしまったのかもしれないが。

スペースヅノーは強力な吸引力で勇介と丈を体内に閉じ込めてしまう。

勇介と一緒に死ぬかもしれないことに軽口で不満を漏らす丈。

そういえば、初期は二人のこういう軽いノリのやりとりが見られたが最近はめっきり減っていた。なので、久々に初期の雰囲気が味わえるのが嬉しい。

史郎の協力で脱出に成功した二人を加えてスペースヅノーを撃破するライブマン。必死にスペースヅノーから子どもを守るめぐみの姿を見て史郎は改心したのだった。

今回はめぐみを中央に置いての変身。平成に入ってからは、その話のメインメンバーが並びの中央を務めることも増えてくるが、この時期はこうした試みは貴重。

つかの間のめぐみの恋らしきものが描かれ、めぐみファンなら是非押さえておきたいエピソード。

夏服から初期の服に戻ったためか、森恵さんの雰囲気が初期よりグンと大人っぽくなっているのがはっきりわかる。

「軽薄な男が嫌い」というめぐみのタイプも発覚。

しかし、改心したといっても自首するわけでもなく史郎が許された感じになってるのは「う~ん」と思った。

本当に思い直したなら、やはり禊の場面が欲しかったところ。

次回からシリアスな話がずっと続くため、箸休め的な話の意味もあったのかもしれないがそこは視聴者と作中の孤児院の子ども達のためにも深く書いて欲しかった。

次回、尾村豪が再登場! ボルトとの最終決戦に近づいていく。