ネコはミカンを片手に夜明けを待つ

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映画「超強台風」感想 中国特撮の本気 スーパー市長が責任を持って対処します

こんにちは。管理人の侑芽です。

全国各地が梅雨入りし、ジメジメした季節になりました。夏も間近ですね。

夏といえばアイスに祭りに海。まあ、今年は新型コロナウイルスの影響で外出を控える方が多いと思いますが……

そして夏は台風の季節ですね。年々、ニュースを見る度に正直「今年は来ないでくれ」と願わずにはいられません。

さて、今回紹介する映画は「超強台風」。2008年の中国映画です。

台風が上陸する中国沿岸の街を舞台にしたパニック映画。

それは間違いない‥‥‥ 間違いないんですが、色々な理由で他のパニック映画とは一線を画す映画となっています。

まるで「背広に身を包んだスティーブン・セガールが中国で台風と戦うような映画」でした。

何のこっちゃと思われるでしょうが、本当にそんな映画だったんですよ(笑)。

あらすじ

中国沿岸の街に迫る巨大台風。しかし、進路予測が難しいため関係者は対応に苦労する。

ついに上陸する台風。混乱する人々を救うために市長の奮戦がはじまる‥‥‥


『超強台風』特別映像 市長PV(土下座編)

市長!あなたが頼りです!

一に市長、二に市長、三四が無くて五に市長。この映画は市長が大活躍します。

普通、こうしたパニック映画の市長とかって脇役が多いですよね。

状況に慌てふためいて能力の無さが強調され、カッコいい活躍をするのは一般人の主人公っていう。

だけど「超強台風」は違います。

市長というそれなりの権力を持つ人が主役です。しかもその活躍がスーパーヒーローのようで、今作が他の映画と一線を画している最大の理由です。

とにかくこの市長、「超」が付くほどの完璧人間なんですよ。

決断力と行動力があり、前代未聞の台風にも臆することなく立ち向かう。

街の人からも敬われてる様子が映画の中でも描かれています。

それだけ聞くと「へえ、そうなの」で終わりそうでしょう。

終わりじゃないんですよね、これが(笑)

何とこの作品では緊急事態であることを理由に、軍や警察が市長の指揮下に入るんです!

これにより、市長が軍・警察に命令して行動させるという物凄い構図が生まれます。

さらに台風が迫る港で漁師の暴動が起こる中、現場に到着した市長。

「船より命を大事にしてくれ」と漁師達に膝をつき頼みます。

その市長の姿に心打たれる漁師たち。

何かもうこの一連の流れが、漫画みたいな大袈裟な表現で思わず笑ってしまいました。

市長がおもむろに漁師たちの前に出たと思うと、サッと来ていた上着を放り投げて膝をつくんです。

それに被さるように、市長の後ろで巨大な波しぶきが上がるんです。

これは実際に見てもらわないとわからないだろうけど、本当表現が漫画なんですよね。

しかも、演じている役者さん達が大真面目だからそのギャップに余計に笑えるという。

市長の活躍はまだまだ続きます。

漁師達と共に避難所に逃げ込んだ市長。すると、逃げ遅れたコソ泥がタンクローリーのタイヤに挟まれ動けなくなっているのを発見。

ガソリンが漏れはじめている中、市長が救助に向かいます。

この場面、コソ泥の視点から助けに来る市長や漁師達の姿が映されます。

まるで「激走戦隊カーレンジャー」のOPで、スローモーションで走ってくる五人を見るような感じ!

しかもそれが、「市長のテーマ」というべき全編に渡って流れる音楽に乗って描かれるんですよ。

市長がバールでタイヤの空気を抜いてコソ泥は助かります。

直後、台風で切れた電線の火花がガソリンに引火しタンクローリーは爆発。

まるでレスキューポリスシリーズを彷彿とさせる、大爆発が背景の救助場面。

監督さんは日本の特撮番組のファンなのでしょうか?

さらに、台風によって飛ばされた漁船が避難所に突き刺さります。

津波により海水も流れ込む中、何とサメが避難所に流れ込んできます!

ええっと‥‥‥ この映画シャークネードでしたっけ(困惑)?

そのサメにこん棒で立ち向かう市長。この時市長が衝撃の告白をします。

「私は特殊部隊にいた!」

‥‥‥

‥‥‥

‥‥‥

セガールかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

唐突に出てきたこの設定にもう爆笑でした。

その後も市長の活躍は続くんですけど、最後まで完璧な判断力と行動で街を守り切る市長。

あんまり凄すぎて、台風と市長がタイマンで戦ってるようにも見えます。

別に特殊な能力があるとかそんなわけじゃないんですが、とにかくこの市長凄すぎ。

演出とか笑ってしまう場面はたくさんあるんですが、この突き抜けた市長の活躍が凄すぎて見終わったら爽やかな気持ちにすらなりました。

現実の事情はともかくとして、こういう時代だからこんな人の命を大切にするリーダーばかりならと考えずにはいられませんでした。

ミニチュア特撮の魅力

特撮というとウルトラマンやゴジラを思い浮かべますが、それが特撮の全てではありません。

様々な技術を使い、現実では有り得ない映像を作り出す表現の全てが特撮です。

「超強台風」は怪獣が出てくる映画ではありませんが、台風による被害の表現に特撮が用いられています。

2008年の映画なので、この頃は映画「トランスフォーマー」の第一作を思ってもらえたらわかるようにCGは普及していました。

ですが、今作はミニチュアを使用した特撮が災害場面の多くに使われています。

私は中国の特撮について全く知りません。

だけど、今作の特撮はかなり力の入ったものだと感じました。

勿論よく見ればここはミニチュアだとわかるのですが、見知らぬ異国の街であることもあってかリアリティを感じました。

アナログ特撮では、水の表現がとても大変です。

どうしてかというと、水って思い通りに動かないじゃないですか。しかも、失敗したらまた一から作り直さないといけない。

その表現に果敢に挑戦し、一定のクオリティに達していることは評価されていいと思います。

個人的に感動したのが、ラストにミニチュアの街に動いている人を合成している場面があるんです

これがかなり自然な出来で、あまり違和感を感じませんでした。

まるで、ウルトラマンシリーズを見ている気持ちになります。

映像的に見どころが多いので、特撮ファンが見ても楽しめる映画が「超強台風」。

軽く見れる映画を観たい方にお勧め

ご都合主義な展開、大袈裟さな音楽の使い方など突っ込み所満載の映画。

だけど、弾け具合が突き抜けていたため私は楽しむことができました。

一流の作品を観るのはとても楽しいですが、それに飽きてしまった時におやつ感覚で楽しむ作品があってもいいと思います。

「超強台風」はそんな時にもってこいの作品でした。


超強台風 (字幕版)