ネコはミカンを片手に夜明けを待つ

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超獣戦隊ライブマン第31~第34話感想

第31話作品情報

サブタイトルママ! 寄生怪物の叫び
放送日1988年9月24日
監督東條昭平
脚本曽田博久
登場怪人ベガヅノー、ベガベビー

あらすじ

ベガヅノーに襲われた純一は、体内にベガベビーを妊娠してしまう。

感想

追加メンバーである相川純一の初メイン回。同時に、男性が妊娠してしまうという展開が強烈な印象を残す回。

冒頭のパトロールででしゃばる純一が若さを感じさせる。勇介や丈は軽さはあっても最初から分別を感じさせたので、ライブマンに新風が吹いた感じがする。

ベガヅノーに襲われて妊娠してしまう純一。正確には妊娠というより寄生なのだが、腹部が膨れ上がる姿はまさに妊婦。

ありえない事態に恐怖する純一の姿が痛々しい。それを慰める勇介や丈の姿が優しく、先輩戦士の威厳を感じた。

恐怖に震えながら街の人の見世物に純一がなる場面。勇介の体に金属がくっついた時もだが、こういう時にかけよって来てくれる仲間がいるのは見ていて温かくなる。

徐々に命の重みを感じベガベビーを生む決意を固める純一。非常にテンポが速いが、丁寧な演出で純一の心が変化する過程が上手く描かれていたと思う。

誕生したばかりであるにも関わらず、最終的にボルトの手にかかってしまうベビー。

放送時間が短いから尚更そう感じるのだが、非常に短命な命であった。その分、見ている側としてもライブマンの怒りとボルトの非道さに感情移入することができた。

巨大戦はライブボクサー単体の活躍。ギガボルトは相手が相手だっただけにしかたないが、通常の頭脳獣が相手ならライブボクサー単体でも勝利できることがわかる回。ようやくライブボクサー本領発揮といったところ。

一見するとギャグとも捉えかねない純一の妊娠だが、人間の母の強さと優しさ。命の重さ、儚さ。命というものに真正面から取り組んだ名作エピソードであり、個人的にライブマンを代表するエピソードだと思った。

第32話作品情報

サブタイトルケンプ、血とバラの謎
放送日1988年10月1日
監督東條昭平
脚本藤井邦夫
登場怪人ゴアヅノー

あらすじ

かってケンプ=月形に救われた女性・マイと再会した勇介。一方、ケンプは血を集めて自身を強化しようと考えていた。

感想

ケンプの過去が描かれる回。この回で超獣剣が強化されてライブロボの必殺技が「ストロングクラッシュダウン」へと変化。同時に五人で操縦することになる。

パワーアップのために血を集めるケンプ。実は非常に珍しい血液型とのこと。

作戦の中でゴアヅノーが襲った保母が、実は月形に救われたことのあるというマイ。その恩返しとして、実験途中で重傷を負った月形に輸血したのがマイだった。

そのことを勇介から聞かされた時の反応を見ると、その事実を知らなかった様子。

一連の過去の様子が描写されるが、回想で描かれる月形の姿は普通の好青年で今の姿とかなりギャップがある。

これにより、親友と戦わねばならないというライブマンの過酷さが強調されていた。

第18話では、仙田ルイだったころにどこか未練のあるようなマゼンダに声をかけたのはケンプだった。

今回は逆に、ケンプに声をかけるのがマゼンダとなっていて18話と対になっている。

脚本が同じ藤井氏だからこその繋がりで、彼ら二人の揺れる胸中が感じられた。

勇介とケンプが殴り合う場面は青春物を彷彿とさせて熱い。しかし、これで両者が和解できるわけもなく悲劇に繋がっていくと思うと切ない。

ケンプ達は引き返すことはできなかったのだろうか。

ボルト側のドラマも描かれながらライブマンは進んでいく。

第33話作品情報

サブタイトルがんばれ鉄ちゃんロボ
放送日1988年10月15日
監督長石多可男
脚本曽田博久
登場怪人ロボヅノー

あらすじ

友人が次々と引っ越し孤独になったカズオ少年。鉄也は偶然知り合ったカズオのために友達となるロボットを作ってあげようとする。

感想

初の矢野鉄也がメインとなるエピソード。無鉄砲で血の気の多い印象だった鉄也優しさが見られる回。なお、夏服だった勇介達の服が今回から初期の服に戻っている。

冒頭、最後の友達の少女が引っ越す姿を見送るカズオ。偶然通りかかった鉄也のバイクに乗せてくれとせがむ。

詳しくは語られないが、映し出される家や周囲の様子から察するにカズオの住んでいる場所は鉱山町。だが、寂れた様子なのでもう資源が掘れなくなったのだろう。

それで次々と人が離れていっただろうことが映像からわかる。

この説明台詞がなくても映像だけでその状況を想像させる手腕は、長石監督の力を感じた。

それにしても今なら離れた人ともスマホで簡単に連絡がとれるが、当時はそんなことはできないので尚更寂しいだろうな。

ロボットならいなくならないというカズオに自分が作ると約束する鉄也。勇介達に協力してくれと頼むがボルトと戦っていてそれどころではないと却下される。

勇介よ。君はライブクーガーの時はそこにいる鉄也の弟の願いを、戦いそっちのけで聞いてあげたんじゃなかったっけ……

まあ、あの頃よりボルトも強くなっているので状況が変わったのかもしれないが。

あと、一連の流れでコロンを作るのに星博士が二年もかかっていたことが判明。どうりで感情が豊かで高性能なわけだ。

ロボットが作れないので、着ぐるみを作った鉄也がそれを着てカズオに会う。カズオはすっかりそれを本物と信じる。

ここで何故かマゼンダが登場。着ぐるみの見た目を元にロボヅノーを作り出す。

唐突なマゼンダの登場には驚き。ストーカーでもしていたのかと突っ込んだが、ボルト側もライブマンの動きを警戒していたのだろう。人数も増えて機動力が上がったことだし。

ガッシュがロボヅノーを作るが、ロボットのような見た目の頭脳獣をガッシュがどう思っていたのかちょっと気になる。

ロボヅノーは鉄也を襲ってすり替わる。この後マゼンダが自信満々にビアスに「鉄也を倒しました」と報告するが、初期の三人ならともかく新米の鉄也を倒したことにビアスが「なに!」と反応するのは意外。

正直、まだまだそんなに警戒するだけの力が鉄也にあるとは思えないが…… まあビアスにとっては、ギガボルトを倒された理由の一つに追加戦士があると考えて警戒していたのだろう。

勇介達を罠にはめるが、それに失敗すると正面から戦うロボヅノー。これがかなり強い。

マゼンダの援護があるとはいえ、ライブマンを圧倒している。ガッシュもそうだが、ボルトは変に作戦など立てずに戦闘ロボットを量産して正面から戦えばライブマンに勝てそうな気がする。

カズオのためにロボヅノーと戦う鉄也。その正体をカズオに知られてしまうが、カズオはそのことを受け入れる。

五人そろっての戦闘。今回の巨大戦はライブボクサー単体→スーパーライブロボの流れ。

防御力と火力の高いロボヅノー相手にスーパーライブロボになる流れは、ロボヅノーの強さを考えればとても必然性のある自然な流れだった。

ラストは今のままの着ぐるみロボットでいいと笑顔で語るカズオで締め括られる。

ロボットではないが、鉄也という新しい友人ができたことでカズオの心も救われたのだろう。

鉄也には弟がいるので、今回見せた良いお兄ちゃんの姿が鉄也の素の姿なのだろう。初登場の時はかなり荒れていたが、一気に鉄也への好感度が上がったエピソードだった。

第34話作品情報

サブタイトル未来と今を駆ける恋!
放送日1988年10月22日
監督長石多可男
脚本藤井邦夫
登場怪人ガルヅノー

あらすじ

2003年に暮らす女性ミク。アシュラが仕掛けたタイムマシンの影響で1988年へやってきたミクは幼い頃自分を助けてくれた「リーゼントのお兄さん」を探そうとする。

感想

久しぶりに丈がメインとなるエピソード。第6、7話の事件の発端になったタイムマシンの技術が登場。地味に話の連続性を感じる。

ゲストであるミクを演じる岡谷章子(現・岡寛恵)さんは、声優として多数の吹き替え作品に参加される女優さん。丈と恋愛劇を演じるミクが可愛らしい。

それしにしても、この頃は未来と考えられていた2003年もとうに昔の時代となってしまった。戦隊ではアバレンジャーが活躍している時代である。

冒頭で妙にノリノリの丈。何と放送日である10月22日が誕生日とのこと。戦隊で誕生日が明言されるキャラも珍しい気がする。

トンネルをタイムトンネルにして、未来の究極兵器を奪い取ろうと計画するアシュラ。しかし、誤作動で2003年の時間と繋がってしまう。そこで偶然バイクで通りかかったミクと遭遇。ミクは時間を遡り1988年へ。

ミクにフランクに話しかけるアシュラが何だか微笑ましい。こんな奇怪な男に物怖じしないミクもミクだが、この場面のアシュラはまるっきり気のいいお兄さん。あんまり悪人っぽい感じがない。

東京タワーの近くで小さな赤い靴を見つけた丈。そこにバイクに乗ったミクと、アシュラが現れる。アシュラから逃れるために二人は逃げる。

一方ズノーベースではビアスが激怒していた。何でもタイムマシンはアシュラが勝手に持ち出したとのこと。しかもそれを壊したとなればそりゃあビアスも怒るわな。

ビアスはミクを抹殺すべくガルヅノーを作り出す。ガッシュの力もなしに手を振りかざしただけで。

え? そんなことできるんだ…… さすがボスというべきだがガッシュの立場が……

しかしガルヅノー、こいつは何がモデルなのだろうか?

ビアスの慌てる姿にいつもと違う様子をマゼンダは感じ取る。

ガルヅノーとケンプ、アシュラに襲われる丈とミクだが勇介達の力で難を逃れる。

つかの間のデートを満喫する二人。ちなみにここで流れる歌は矢沢永吉さんの歌とのこと。

森恵さんのブログによると、西村和彦さんが大ファンだったとのことである。

他に戦隊で流れたメジャーなアーティストの歌といえば、オーレンジャーのサザンオールスターズか。

ビアスが焦るのは、未来をボルトが支配していないからではないかと推測するマゼンダ。ケンプは余計なことを考えるなとマゼンダに伝える。

この辺から少しづつビアスに対する二人のスタンスが異なってくる。

再びボルトに襲われ、あと一時間しかこの時代にいれないことを知るミク。未来へ帰ることを拒むが、丈達の説得で帰る決意をする。

トンネルに向かう丈の前に立ちはだかるのはガッシュ。第15話でも丈を追いかけまわしたり、何かとこの二人は縁があるな。オブラー退場後、この二人がライバル関係になる展開があってもよかったと思う。

ミクは無事に未来へ帰りガルヅノーとの対決。

ライオンバズーカでガルヅノーを撃った後、さらにもう一発撃つ様子が描写されこの回の主役を盛り立てる演出がなされている。

巨大戦はライブロボ単体。流用映像のためか、超獣剣を取り出す場面では追加の二人がいなくなっている。ここはきちんとスタッフに気が付いて欲しかった。

未来。丈がくれたヒマワリのブローチを見ながら幼い自分が出会った男が丈だと確信するミク。丈もまた、いつかミクに会えることを願う。

世界観は違うだろうが、2011年放送の海賊戦隊ゴーカイジャーで丈が登場した。この時の丈はミクに再会できたと思いたい。