第21話作品情報
超獣戦隊ライブマン
第21話『豪よ聞け! 母の声を…』
放送日:1988年7月16日
監督:東條昭平
脚本:曽田博久
登場怪人:オブラーヅノー
あらすじ
ボルトに捕らえられたオブラー。それを利用してアシュラはオブラーそっくりのオブラーヅノーを作り出す。
勇介は豪の母に息子の苦しみを伝えるが……
感想
三話に渡って繰り広げられたオブラー退場劇の完結編。
捕らえたオブラーからオブラーヅノーを作り出すアシュラ。
この場面、アシュラこそ意気揚々としているもののケンプとマゼンダは何ともいえない表情をしている。
やはり科学アカデミアからの友人の姿に思うところがあったのだろうか。
オブラーヅノーとの戦うライブマンの所に本物のオブラーも出現。ここからケンプ達がボルトに誘われた経緯が明かされる。
科学アカデミアのパソコンに謎の暗号が送られてきてそれを解いたのがケンプとマゼンダ。
豪は解けずに、お情けでボルトに入れてもらったのだった。
ビアスは当初からケンプとマゼンダに目を付けていたんだろうか? 描写を見た限りだと豪には暗号が送られてきてないっぽいし。
パソコンがない時代ならシャーロック・ホームズみたいな暗号を送りつけたりしてたんだろうな、ビアス様。
戦いの中で、豪の母のもとを訪ねる勇介。豪を説得して欲しいと頼む。
最初はオブラーを自分の子じゃないと拒否する母。さすがに目の前であんな怪物になる所見せつけられたらそう思うだろう。
前回は豪に母の気持ちを考えろと叫んでいた勇介も、今回は母にオブラーを作ったのは母だと気持ちをぶつける。
視聴者からするとよくぞ言ってくれたという台詞。この母親が思い直す展開がなければ、ライブマンのテーマ的に完結しない。
また、勇介がちゃんとベンキョウヅノーについても触れているのが丁寧でいい。
しかし、これがもう少し狂った親なら怪物化した息子を「凄い息子」とか賞賛する展開もあるんだろうな。
そういう親に比べれば、豪の母は過ちを犯した人であっても決して悪人ではない。
母の説得を受け理性を取り戻すオブラー。襲ってくるオブラーヅノーから母を庇ったオブラーは重傷を負い豪に戻る。
説得の場面は、母役の女優さんの熱演もあり感情が揺さぶられる名場面。
豪をボルトに渡すまいと戦うライブマンの姿は熱い。
オブラーヅノーは撃退し豪は人間に戻ったものの、肉体と精神を限界まですり減らした豪は廃人のようになってしまった。
ショッキングな描写だが、どんな理由であれ悪に加担した人間にはそれ相応の報いが必要だという意味だろう。
それは、息子の気持ちを考えなかった母親も同じ。
この親子が道を間違えてしまったのは、両方とも互いを思ってのことだったというのが尚更切ない。
蝶を見て僅かにほほ笑む豪。そこに希望を感じるライブマンの姿で今回は締められる。
OPの冒頭で蝶が撃たれる姿で幕を開けるライブマン。蝶は今作の人間性の象徴かもしれない。
豪が廃人になる姿だけ見るとハッピーエンドとは言いずらいかもしれないが、親子の溝が埋められ豪の命が助かったことを考えればやはりハッピーエンドだと思いたい。
友を一人救うことができた勇介達。作品全体から見てもちょうど折り返し地点。
果たしてケンプとマゼンダを救うことができるのか、先の展開に期待を持たせる意味でも重要なエピソードだった。
第22話作品情報
超獣戦隊ライブマン
第22話『宇宙カラオケ名人登場』
放送日:1988年7月23日
監督:長石多可男
脚本:曽田博久
登場怪人:ギターラヅノー
あらすじ
チブチ星人ブッチーが登場。ギターラヅノーを使って人々を眠らせる作戦を展開し、勇介と丈も眠らされてしまう。
感想
新キャラ・チブチ星人のブッチーが初登場。何の前触れもなく冒頭でいきなり登場とはベロクロンか。
いきなり頭脳獣を引き連れて現れたが、彼の真実を考えればギターラヅノーもガッシュが作ったんだろうな。
海で遊ぶめぐみ。するとどこからかピアノの音が聴こえてくる。
ピアノの音に興味を持つということはめぐみもピアノを習っていたんだろうか?
ピアノを弾いていた少女は鬼気迫っていたようで、突然現れためぐみに「邪魔しないでください」と言い放つ。
まあ、曲の途中で拍手をされて邪魔されたんじゃ仕方ない。
ギターラヅノーと戦うライブマンだが勇介と丈が眠らされてします。
この戦闘シーンはなかなか面白い。音を聴かなければよいとマスクの機能で音をシャットダウンするライブマン。
それを見越して背後にダミーマンを忍ばせておくブッチー。
ふざけた外見に見えて策士の一面が垣間見え、ブッチーの強豪感が上手く出ていた。
逃げるめぐみの耳に再び聴こえてくる少女のピアノ。ピアノにはギターラヅノーの音楽を打ち消す効果があった。
少女に協力を求めるめぐみだが、断られた末敵に襲われた少女は腕を負傷してしまう。
大切なコンクールに出られなくなり絶望する少女を諭すめぐみ。
コンクールに出られなくなった絶望感を埋めるものではないかもしれないけど、ピアノを弾く楽しさだけは忘れないで欲しかったんだろうな。
この回の最大の見所であるめぐみがショルキーを背負って現れる場面。演じる森さんが歌手活動をされているためか楽器がよく似合っている。
しかし途中までしか曲がわからず苦戦するめぐみのもとに、砂浜に撃ち捨てられたピアノの音が響く。
めぐみの説得を受けた少女の援護を受け勝利するライブマン。
今回唐突に登場する新武器トリプルバズーカ。各人の武器が合わさった形状は後のジュウレンジャーのハウリングキャノンを彷彿とさせる。
しかし、とどめはやはりバイモーションバスター。そのためかこのトリプルバズーカは印象が薄い。
ライブクーガーなど、これまでの装備登場にはドラマがあっただけにトリプルバズーカにもそうしたドラマが欲しかったところ。
今回はブッチーの登場もあるが、オブラー退場を受けての箸休め的な印象があった。
それでも私個人は海で人間らしく楽しむライブマンに対し、もうそんな楽しみを味わうことができないケンプやマゼンダの悲運も感じられたのだが。