ネコはミカンを片手に夜明けを待つ

日々の中で出会った映画・本・お店などのエンタメを紹介する雑記ブログです。小説やウルトラマンをはじめとした特撮を中心に運営中。

ラジオとオムライス 〜甘酸っぱいいちごの想い出〜

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いつもお世話になっているメイドカフェで初めて出会った時、彼女は先輩メイドの後ろに緊張した様子で立っていました。

「はじめまして。よろしくお願いします」

彼女もドキドキしていたのでしょうが、こんな風に挨拶した私も内心は初対面の人を前にして大緊張。

「はい! よろしくお願いします」

そう返事をした彼女の声は微かに震えているようでしたが、瞳だけは逸らすことなく真っ直ぐに私を見つめ強い意志が宿っていました。

 

「最初は大変でしょうけど、分からないことがあったらこちらの先輩に何でも聞いてくださいね」

どうにか話を繋げようと先輩メイドに話を振る私。

「う〜ん、でも私もあんま分からないし」

と先輩メイド。

「ちょっとちょっと! 貴女がそれはまずいでしょ」

と突っ込みを入れる私。

まるで漫才のようなやり取りを横で見ている新人の彼女はますます戸惑った様子。

今振り返るとこの場には、後に副メイド長となる2人が揃っていました。

しかしこの時は誰もその未来を知る由もありません。

もう随分前のことです。

この時緊張していた新人の子は短期間でメキメキと成長し、お店とそこを訪れた人たちのためにたくさん頑張ってくれました。

 

 

折からの社会状況もあり頻繁に会えたわけではありませんが、だからこそ久しぶりに会うと彼女の成長が伝わってきました。

よく覚えているのが彼女がお店に来て半年ほど経った頃のこと。

お店に初めて来たお客さんに丁寧に対応していた姿が印象的です。そこには初対面の私に緊張しながら挨拶していた彼女の姿はありませんでした。

もしかしたら内心は緊張していたのかもしれないけど、それを周囲の人に感じさせないほど堂々とした態度でお客さんに接する彼女。

 

お客さんがその店に対して抱く印象は最初に話したメイドさんで決まる部分が大きい。

 

実体験から私はこのように感じていますが、その時彼女と話をしているお客さんはとても安心している様子でした。

その日からしばらく経って、彼女が副メイド長に選ばれたと聞いた時は嬉しかったです。

きっと見えない所でたくさん努力を重ねていたのだと思うし、それが実を結んで良かったと思いました。

同時に彼女が目標を持って頑張っていたことを知った時、お店のことが本当に好きなのだと感じてそれもまた凄く嬉しかったです。

 

忘れられないことがあります。

いくらか長くお店に通っていたにも関わらず、ある日私はこの店のオムライスを食べたことがないことに気づきました。

そこでお店に行った時に注文したのですが、この時ケチャップでお絵描きをしてくれたのが彼女でした。

絵を書くことが好きな彼女らしい素敵な絵で癒し効果抜群。

初めてのオムライスの素敵な記念になりました。

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この話には続きがあって、実はこのオムライスはラジオで紹介されたことがあるんです。

ある日たまたまラジオを聴いていたら「喫茶店」というテーマでメッセージを募集していました。

メイド喫茶がテーマの範囲に入っているかわかりませんでしたが、まさか採用されることはないだろうと何気なしに私がお世話になっているお店のことを投稿しました。

料理がとても美味しいこのお店の雰囲気が伝わるように彼女が絵を描いてくれたオムライスの写真を添付して。

 

「僕はメイド喫茶は行ったことはないんですけどね。あっ、ああ・・・ なるほど。凄い可愛い絵のオムライスですね」

 

ラジオから聴こえてきたパーソナリティの声。まさかまさかのメッセージ採用。

ラジオなので当然このオムライスや、そこに描いてあった絵がどういったものかリスナーにはわからなかったでしょう。

それでも彼女が一生懸命ケチャップで描いてくれた絵の可愛さが、一人でも多くの人に伝わったと思えば本当に嬉しかったです。

時々投稿しても私のメッセージが読まれることなどほとんど無いのですが、彼女のお陰で滅多に無い貴重な経験をすることができました。

本当に感謝しています。

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時は流れてクリスマスのバータイムイベント。彼女はトナカイの衣装を着ていました。

この日の前に髪を染めた彼女の写真を見ていたのですが、とても可愛くてまるで天使のよう。

しばらく会っていなかったので、この日が久しぶりの再会でした。

「お久しぶりです。凄く可愛くて天使みたいですよ」

「ありがとうございます! トナカイの皮を被った天使!」

「凄いパワーワードじゃないですか」

初めて出会った時とは全く違う自然に冗談も出てくる穏やかな会話。

慌ただしい一年の最後におとずれた楽しい一時。

 

これが私が彼女と過ごせた最後の時間でした。

大変申し訳ないことに彼女がお店を卒業する日も私は彼女に会いに行くことができませんでした。

 

たくさんみんなのために頑張ってくれた彼女。

お店の仲間たちの絵を描いてくれた彼女。

この場所を心から愛してくれた彼女。

 

最後に会いに行けなかったことは残念ですが、彼女がいた日々の想い出は私の心の中にあります。

そしてこれから生きていく中で赤く可愛らしい『いちご』を見る時、私はこのお店で出会った素敵なメイドのことを思い出すでしょう。

 

彼女の未来が幸福なものでありますように。

 

出会ってくれて本当にありがとう。

新しい一歩へ向かって・・・ いってらっしゃいませ。

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