第11話作品情報
超獣戦隊ライブマン
第11話『頭脳獣を噛んだ男』
放送日:1988年5月7日
監督:山田稔
脚本:曽田博久
登場怪人:ヒヒヅノー
あらすじ
オブラーはヒヒヅノーを使い人間を猿人にしようと計画する。ヒヒヅノーに苦戦するライブマン。
その時、暗黒街のニューマフィア・毒島嵐がヒヒヅノーの前に立ちはだかる。
感想
新キャラクター「ドクター・アシュラ」の登場する前後編の前編。
クールな三幹部と対になる、野性的な天才のキャラクターが魅力的だ。
ヒヒヅノーの登場がディスコのテレビの中からという構図が面白い。
人間が猿人になる展開はウルトラセブン第44話「恐怖の超猿人」を彷彿とさせる。
セブンと違い、ディスコから街中に猿人が溢れる場面は時代を感じた。
ヒヒヅノーは防御力が高くライブマンを変身解除に追い込む。小細工のない正統派の強さで、もしかしたら今までで一番強いんじゃないだろうか。
そのヒヒヅノーを圧倒しボコボコにする嵐。まんま「一人北斗の拳」みたいな姿が印象的。
ライブマンの武器も通じないヒヒヅノーを生身でボコボコにするなんて、赤心少林拳でも習ったのだろうか。
ヒヒヅノーを渡せという勇介達の言葉を拒否する嵐。
天才にコンプレックスを持つ嵐は、勇介が科学アカデミアの生徒であることを知りさらに逆上する。
最初は嵐のワイルドさに惹かれためぐみもこれには辟易する。
ここで丈がめぐみに「もう少し男を見る目をつけなきゃね」と言うが、シリアスな中でもこういうライトな台詞のやり取りがライブマンの魅力。
すっかりヒヒヅノーと猿人を屈服させ銀行強盗を働く嵐。勇介は嵐を止めようとする。
相手を見下すだけかと思いきや「なかなかやるぜ」と勇介を認める言葉を口にする嵐。
細かい部分だが、きちんと相手を認める部分に嵐がボスになれた器の大きさを感じる。
この後の、勇介と嵐の生身でのアクションシーンは迫力があって今回の見どころ。
二人の対決に割って入るオブラーは、ヒヒヅノーと猿人を自分のコントロールに置く。
怒った嵐は突撃をかけるがガッシュに邪魔される。
最終的にオブラーと嵐は印象的な場面を演じることになるが、そこに至る過程がこの話から作られているように感じた。
ヒヒヅノー達に突撃する嵐の姿は討ち入りのようで、そこは任侠映画を数多く手がけた東映ならではといったところか。
嵐の姿を思い出し、自分にもできるはずだとパンチでヒヒヅノーに挑むレッドファルコンがカッコいい。
ヒヒヅノーを倒したものの、嵐はボルトに連れ去れる。
天才が多いライブマンで、嵐のようなキャラクターがいると話に広がりがでる。
今後の動向に注目したいキャラクターだ。
なお、今作は長年にわたり東映作品で活躍した山田稔監督の引退作である。
第12話作品情報
超獣戦隊ライブマン
第12話『超天才アシュラ!』
放送日:1988年5月14日
監督:東條昭平
脚本:曽田博久
登場怪人:テストヅノー
あらすじ
ボルトに誘拐された嵐はビアスから直々に教育を受けていた。
世界中の科学者が誘拐されるという事件を追うライブマンの前に、ドクター・アシュラとなった嵐が現れる。
感想
前回からの続き。
嵐を教育するビアス。簡単な足し算から教えているが、途方もなく時間のかかるやり方に思えてしまった。
これは嵐の精神を自分に屈服させるのが目的だったのだろう。
粗暴な嵐をビームなどを使って従わせる辺りに敵のボスの威厳を感じる。
ビアスの戦闘的な描写が描かれるのは今回が初。演じる中田氏の演技もあって他の幹部を上回る迫力が出ていた。
ボルトが科学者を誘拐していたのは、ドクター・アシュラの最終テストのため。
クイズ形式で学者と嵐を競わせて、負けた学者をテストヅノーが処刑する。
まるでテレビのクイズ番組のような構図。
だが学者がこと切れる場面が直接的に描かれているので、ギャップとなってボルトの恐ろしさを感じる。
アシュラの戦闘シーンは他の幹部以上に動きが激しく強敵感が伝わってくる。
アシュラを演じるアクション俳優、岡本美登氏の存在あってのものだ。
ライブマンを退けたアシュラは銀行強盗や宝石泥棒を行う。
勇介はアシュラの中にまだ毒島嵐の人格が残っていると感じ、そこをついて戦う作戦を考える。
その作戦とは、科学アカデミアの制服をライブマン三人で交代に着て嵐を翻弄するというもの。
この時のアシュラとの戦いは闘牛を意識している。
一見コミカルに見えるが、嵐だった頃の粗暴な人格を思えば雰囲気のしっくりくる作戦だ。
作戦は成功しアシュラを撃退。テストヅノーもライブマンに倒される。
この戦闘ではジェットスケボーが再登場する。
玩具化を前提としないアイテムが再登場したのは驚き。そして、ちゃんと話の繋がりが感じられて嬉しかった。
しぶとく生き残っていたアシュラの姿にケンプ達は奮起する。そんな彼らの姿を見ながら微笑むビアス。
既に結末がわかっているが、全員がビアスの手の中で踊らされていると考えると哀れだ。
ボルト側がパワーアップし、物語は盛り上がっていく。