第43話作品情報
サブタイトル 怪!? ギルドス最期の姿 放送日 1988年12月24日 監督 東條昭平 脚本 曽田博久 登場怪人 ギルードヅノー
あらすじ
ギルドスはギルードヅノーを操り純一を襲う。戦いはグリーンサイの勝利に思えたが、ギルードヅノーはギルドスがいる限り何度でも甦る不死身の頭脳獣だった。
感想
この回でギルドスが物語から退場。ここからボルト幹部の退場劇が続き、物語はクライマックスに向けて怒涛の展開を見せる。
冒頭は前回からの続き。老化してしまったビアスは、11個の脳の力で若返る。「急がねばならん」と最高の千点頭脳を求めるビアス。
これまで要所要所で幹部たちの点数が出てきたが、あれにはきちんと意味があった。
しかし、急ぐ意味は何だろうか?
想像だが、11個の脳の力では若い姿でいられる時間に限度が来たのだろう。ビアスは過去にも1個の脳に限界が来たら2個、それに限界が来たら3個というやり方をしてきたのかもしれない。
それなら、一番古参の脳はいつぐらいからビアスに利用されてきたのだろう。何百年と脳の姿でビアスにこき使われてきたと思うと気の毒でならない。
「片時も勉強を忘れてはならぬ身だろう!」と幹部たちに発破をかけるビアス。例のごとく点数を見せるが、それにギルドスが反発する。
ビアスと言っても所詮は人間に過ぎないと強気のギルドス。地球人に点数を付けられることが気に食わないようだが、彼はビアスを何だと思っていたのだろう?
そこまで言うなら凄い所を見せろとギルドスに言うビアス。この際、不敵な笑みを浮かべながら敬語を使っている。
きっと心の中では大笑いをしていたに違いない。
だが、ギルドスが自力でギルードヅノーを作った時は驚いた表情を見せている。予想外のことだったのか、それとも芝居だったのか……
だが直後に、再び不敵な笑みを浮かべているのでやはり芝居だったのだろう。
ギルードヅノーで最初に狙うは相川純一。なぜ純一なのかは不明。一番年少だったから倒しやすいと踏んだか?
その頃純一は、足を怪我をした少年を励ましていた。特撮ではお馴染み、いつ知り合ったのか不明なゲストキャラの少年。
弱気な少年に、姉が純一も昔少年と同様に怪我をして立ち直ったことを教える。しかも今はライブマンであることも。
さすがに驚く少年。
ここでわかることだが、やはりライブマンの存在自体はそれなりに世間に認知されている。それも、きちんとヒーローとして知られているようだ。
そこをギルドスとギルードヅノーが襲撃。応戦するグリーンサイ。一人での戦いに苦戦するが、一瞬の隙を付きギルードヅノーを撃破する。
その隙というのが、弾かれたサイカッターが偶然電線を切断したため電柱が倒れてきてたまたま下にいたギルドスたちにダメージを与えたというもの。
頭脳獣は倒せたが、付近一帯は停電になって混乱したことだろう。
その結果を見て慌てるブッチー。
「どこが宇宙の天才なんだすか?」とおちょくるアシュラがいい。ケンプやマゼンダではこんな台詞は言えないだろう。
本当に悪役だけど美味しいポジションと個性の持ち主だな、アシュラ。
ギルドスはギルードヅノーを再生させ、歩く練習をする少年と純一を再び襲撃。グリーンサイは少年の前で敗北してしまう。
そこに他の仲間が助けに、来てどうにか危機は免れる。
この時ライブクーガーでコロンも参戦。砲撃でギルードヅノーを倒す。
前回の話で激しい損傷を受けたように見えたが、どうやら無事だったようだ。
しかし、グリーンサイの敗北を見た姉妹はその場から立ち去ろうとする。純一の姿に希望を持っていただけにショックだったのだろう。
そこを再びギルドスたちが襲撃。少年をさらい、純一に一人で来るよう要求する。
ただ助けるだけでなく、歩けるようにしてやりたい。そのために一人で向かう決意を語る純一。
妊娠し命の尊さを知り、友との友情を取り戻し成長してきたのだろう。
登場話数こそ短いが、その純粋なキャラクターはしっかりした個性を放っている。
再び激突するグリーンサイとギルードヅノー。サイカッター、ライブラスターとどの武器で破壊してもたちまちギルドスによって再生させられるギルードヅノー。
しかし、確かに能力は脅威だがここまで見た限り防御力は紙同然だなギルードヅノー。
これでは負けることはない代わりに、勝つこともできないと思うが……
奮戦するグリーンサイの姿を見た少年は、ついに一人で駆け出しグリーンサイの元に辿り着く。
それを確認し戦闘に参加する勇介たち。
壊れても、他からの支援で直ぐに再生するギルードヅノー。必死の姿を見ることで、自分で立ち上がる強さを持った少年。
命ある者とない者の対比がここで描かれている。少年を歩かせるという意味では純一は勝利した。
バイモーションバスターを使いギルードヅノーを倒すライブマン。
しかしギルドスがいる限り不死身だとわかっているなら、いっそギルドスを狙撃した方が良かったんじゃないかと思ったが……
まあ、そこはお約束なのだろう。
再生させようとエネルギーを出そうとするギルドスだが、何故かできない。
その時、突然ギルドスの体が爆発しその体内から機械がむき出しになる。ギルドスの正体はロボットだったのだ!
どういうことかとビアスに問い詰めるブッチー。答えずにクスクスと笑うビアスがえぐい。
宇宙人ではなかったのかと混乱するギルドスをよそに、相変わらず巨大化のお仕事をこなすガッシュ。ぶれないなあ、この人も。
巨大ギルードヅノーはスーパーライブロボが撃破。
ギルドスは混乱したまま崖から落ち爆発。その姿にケンプたちもライブマンも衝撃を受ける。
これは放送当時、ネタバレなしで見た子どもたちは衝撃的だっただろうな。
なぜロボットが宇宙人だと名乗っていたのかと疑問に思う純一。勇介は、ビアスがケンプたちの競争相手に作ったのではと推測する。
今までの出来事から推測すればそうとしか考えられない。さすが勇介も科学者だけあって、理屈が通っている。
だとすればブッチーもと予想する鉄也。
ビアスだけがほくそ笑む状況で次回へと続く。
第44話作品情報
サブタイトル ブッチー涙の大暴走!! 放送日 1989年1月14日 監督 東條昭平 脚本 曽田博久 登場怪人 ボーソーヅノー
あらすじ
自分もロボットだったことを知ったブッチー。しかし、ビアスに逆らうことはできず破壊活動を行う。めぐみはそんなブッチーを止めようとするが……
感想
ブッチー退場編。なお昭和天皇の崩御により元号が平成へと変わったため、今回の話が平成になってはじめて放送されたスーパー戦隊シリーズの作品となった。
自分の体を調べて、やはりロボットであったことを知るブッチー。これまでメンテナンスとかどうしていたのだろう?
天才のビアス作だから長時間メンテナンスをしなくてもいいくらい精工なのか、あるいはその時だけ記憶を消されているのか……
自分には宇宙人としての過去の記憶もあるとビアスに問いかけるブッチー。それも自分が作ったと語るビアス。
その姿を見て、自分たちこそがビアスの真の弟子だったのだと喜ぶケンプ。
そういう風に考えるわけか。16歳の頃の彼を思えば、確かにそう考えるよなと納得できてしまう。ビアスのしてることに嫌悪感とか一ミリもないのだろう。
悲しみに暮れる時間も無いまま、ビアスに従うよう力づくで命令されボーソーヅノーと供に街を破壊するブッチー。
この場面、背後に普通に車が走っている所を見るとゲリラ撮影か? 目撃した人はびっくりしただろうな。
光GENJIの「パラダイス銀河」を背景に破壊を続けるブッチー。ジャニーズの曲に乗って破壊を行った怪人は彼ぐらいだろう。
曲が明るい分、ブッチーの心情を思うとこみ上げてくるものがある。
そこにライブマンが出動。ブッチーを止めるために使った手段が何と鎖! 案の定止められずに逆に引きづられてしまう。
「やぶれかぶれは強いのだすよ」といつもと気迫の違うブッチーに苦戦するライブマン。
ずっとコミカルだったり、他の幹部と一緒だったりで今一単独の強さがわからなかったブッチー。しかし、本当は強かった。
今のライブマンは数々の戦いで成長してきたのだが、それを圧倒すると考えればその強さがわかる。
だが、めんたまリボルバーがでない。ブッチーは泣いていたのだ。
ボーソーヅノーの攻撃の巻き添えを食ったブッチーはダメージを負い、体内のメカが露出してしまう。
偶然、ブッチー初登場話で流れていた曲がラジオから流れその時のことを思い出すブッチー。
曲に乗って踊りだしてしまう。その姿を見たビアスはブッチーに減点300点を与える。
もう見放して処分するつもりだろうに、今更減点も何もないと思うが冷酷さは伝わってくる。
初登場の時の想い出そ挿入するのはグッド。ライブマンは回想シーンが多い印象があるが、きちんとその話と前の話の繋がりを考慮した上で挿入されているのであまりストレスを感じない。
その様子を微笑ましく見つめるめぐみ。その時、アシュラがブッチーを襲撃する。
減点されたことを知らされ再び暴走するブッチー。ここまで来てもビアスの点数に踊らされる姿が本当に悲しい。
そんなブッチーの前に思い出の曲を演奏しながらめぐみが登場。一緒に踊ろうと優しく語りかける。
考えてみれば、めぐみも科学者だった。ロボットの研究をしたこともあったかもしれないし、身近にはコロンがいる。
人間に勝手に作られ、私利私欲のために利用されるブッチー=ロボットの姿。
犯した罪はあれど、それでも最大の悪はビアスだとめぐみも他のメンバーも考えたのかもしれない。
遂に0点となってしまうブッチー。アシュラがブッチーを倒すために襲い掛かるが勇介たちが立ちはだかる。
めぐみと供に逃げるブッチーだが、サイバー分身の攻撃からめぐみを守ってダメージを負ったところをビアスによってとどめを刺されてしまう。
おそらく自爆スイッチでも仕掛けていたのだろう。
ビアスに作られたことを呪ったが、恵に会えたことを感謝し遂に爆発するブッチー。悲しみに暮れるめぐみ。
やり切れない展開だが、ロボットであることを自覚しその上で最後に喜びに出会えた分ギルドスに比べればブッチーはまだいくらか救いのある最後だったと思う。
同時に、本当に最後の最後に少しでもビアスの命令から外れた行動を取ってビアスを苛立たせたブッチー。
ビアスに作られた道具だったはずの彼が、一矢報いたように感じたのは私だけだろうか。
「さらば哀れなライバルよ」と言い放つアシュラ。一体その先には何があるのかというめぐみの問いに「名誉と栄光」と答えるアシュラ。
何というか、この台詞が非常に上っ面だけのものに感じる。本当にただのお題目で中身がないというか。
この場面も、アシュラが血の通った人間・毒島嵐からビアスの操り人形に変えられてしまったことを考えさせられ悲しくなる。
戦闘場面は「スパーク!海へ!」をBGMに。まるでブッチーへの弔いのように感じられて今回の戦闘は熱かった。あと久しぶりにジェットスケボーも登場。
忘れられていなかったんだ! こういう心配りが嬉しい。
巨大ボーソーヅノーはライブボクサーで撃破。残るボルトの幹部は三人。
今回は森恵さんの魅力が存分に発揮された回だった。特にブッチーに優しく語りかける表情は母親のように安心感を感じる笑顔だった。
命がテーマのライブマン。命を生み出せるのは女性。そう考えれば、ヒーロー側唯一の女性メンバーであるめぐみの存在は作中でかなり重要だったのではないだろうか。
それにより、もう一人の女性キャラクターであるマゼンダが命を生み出せないよう自身を機械にしていく過程がより悲しいものに思えてくる。
果たして残る三幹部の運命は……