ネコはミカンを片手に夜明けを待つ

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超獣戦隊ライブマン第41~第42話感想

第41話作品情報

サブタイトル透明人間、豪の告白!!
放送日1988年12月10
監督長石多可男
脚本曽田博久
登場怪人トウメイヅノー

あらすじ

ボルトを抜けた尾村豪に再会した丈。トウメイヅノーの実験に偶然出くわしてしまった豪は、透明人間になってしまう。

感想

ギャグ要素の強かった前回から一転、番組全体に初期の雰囲気が戻りいよいよライブマンも終盤戦。

今話から最終話までの全ての話は、メインライターの曽田博久氏が担当。

ある夜に尾村豪に再会する丈。パトロール中に、本当に偶然すれ違っただけの再会。凄い確率だ。

足を怪我し、車椅子に乗っている豪はこの時まだ記憶が戻っていない。だが、ケンプが引き連れたトウメイヅノーの光線を受けたショックで記憶を取り戻す。

よく考えたら、この記憶の回復がボルト崩壊への序曲。そのきっかけをケンプが作ったというのは皮肉な話だ。

ということはボルト壊滅の功労者はケンプになるのだろうか。現実でも人生は思いもよらぬことの積み重ね。

ある程度人生経験を重ねると、今回のケンプのように思いがけない小さなことが後々重大な変化をもたらすことにリアリティを感じて他人事とは思えなくなる

もしかしたら曽田氏もそうしたことを感じていたのかもしれない。一見強引に見える特撮番組などの展開も、実は作り手が人生で経験した感覚を元に描かれていたのではないだろうか。

話がそれてしまった。

豪の命を奪わなかったケンプに激怒するビアス。ただの裏切り者に対して見せる異様な怒りに、幹部たちは何かを感じ取っている。

トウメイヅノーの光線の影響で透明人間となってしまった豪。ライブマンとボルトは豪を必死に探す。

この時、豪の近くまで接近していたのは鉄也と純一。豪がボルトを抜けた後にライブマンに加入した二人だ。

今話で豪と初対面になる二人。敢えて初期の三人でなく、追加メンバーの二人をフューチャーした所に曽田氏の丁寧さを感じた。

朝になり、ケンプに見つかってしまう豪。豪の恐怖に引きつった顔が見たいと、ケンプは豪の透明化を解く。

わざわざ恐獣ケンプの姿にまで変身するケンプ。この姿を知らない豪はどう感じただろうか。

まあ、恐怖で何かを冷静に考えられる心境でもなかっただろうが……

そこへライブマンが登場。ボルトも幹部総出で迎え撃つが、どうにか豪を守ることに成功する。

久しぶりの再会を喜ぶ勇介達だが、豪は自分が犯してきたことへの罪の意識に苦しんでいた。

ここで、鉄也がライブマン屈指の名台詞を放つ。

人はどんな過ちを犯しても、必ず気づいて人の心を取り戻してくれるものだと

こういうことが言えるなんて、鉄也も成長したなあ。初登場時の暴走が信じられないくらいだ。

豪に対しての鉄也と純一の紹介のシーンはなかったが、殺された友人の弟達だと勇介や丈が紹介したのだろう。

この台詞の重さは、鉄也のポジションだからこそ。ライブマンに追加メンバーが入ったのは、商業的にもストーリー的にもやはり正しい展開だった思う。

豪が語った封印されたビアスの秘密。複数の人間の脳が飾られた部屋で、その脳に接続された機械と自分とを接続する恐ろしいビアスの姿。

マゼンダとケンプも密かにその話を盗み聞きしている。勇介はそれこそがビアスの秘密だと確信する。

豪の告白が終わった後、マゼンダ達はライブマンを強襲。戦いがはじまる。

手当たり次第に透明光線を放つトウメイヅノー。それに苦戦するライブマンだが、一瞬の隙を付いてイエローライオンが攻撃。

反撃しようとしたトウメイヅノーとケンプ、さらにアシュラとマゼンダは、透明化した木にぶつかってしまう。

この愚か者!何でもかんでも透明にするからだ!

トウメイヅノーを殴る恐獣ケンプ。

あんたが作った頭脳獣だろ! と盛大に突っ込んでしまった。シリアスな展開の中なので少しだけほっこりとする場面。

トウメイヅノーは撃破されたが巨大化。ライブボクサーで迎え撃つライブマンだが苦戦し、スーパーライブロボに合体し勝利をおさめる。

スーパーライブロボのセンサーでトウメイヅノーを探す場面があるが、ライブボクサーにはそこまで精密なセンサーは備わっていなかったのだろうか?

ライブロボの方が索敵機能は優れているのかもしれない。

ボルトを退けたものの、豪は何処かに姿を隠してしまう。丈との友情の証に二人で撮った写真を残して。

一方、ズノーベースではビアスが突然発作を起こして倒れるのだった。

ここまで直接的な接点がほとんどなかったライブマンとビアスが、今話から少しずつ接点を持ち始める。

中田譲治氏の迫真の苦しい表情が印象的。やはり、顔出しの俳優の方が感情がダイレクトに伝わってくる。

第42話作品情報

サブタイトルビアス宇宙からの挑戦
放送日1988年12月17日
監督長石多可男
脚本曽田博久
登場怪人ボンバーヅノー

あらすじ

ライブマン壊滅を狙うビアスは鉄也を操り、グラントータスを爆破しようと企む。

感想

前回のラストからそのまま続く今話。倒れたビアスを人間の脳が飾られた部屋・ズノールームに運ぶガッシュ。

ビアスを心配するその声からは、普段のガッシュの無機質さからは想像できないような感情を感じる。

ここまで、ひたすら冷酷なマシンとして描かれてきたガッシュが見せる新たな一面。ガッシュが未だに人気のある理由がわかる。

ズノールームで脳から発せられる謎の光線を浴びて体力を回復させるビアス。

部屋には学校を卒業した時のものと思われるビアスの写真が飾ってある。その姿は現代の姿とまったく変わっていない。

果たして、これが意味するものとは……

回復したビアスの口から、人類を意のままに操るギガブレインウェーブの存在が語られる。

それを完成させるには、今ある11個の脳に加えてあと一つ、合計12個の脳が必要とのこと。しかも、どうやらビアスには時間が残されていないらしい。

ここに、視聴者はビアスの最終目的を知ることになる。

人間の脳は、普段使っている能力はほんの数%に過ぎないと聞いたことがある。

ライブマンはフィクションだし、脳から変な光線が出ている場面はもちろんありえないこと。

それでも、脳に未知の部分があると思えばどこか現実と離れすぎているとも言い切れない気もする。

焦るビアスはボンバーヅノーを作り出す。目的はライブマンの誰かを操りグラントータスを爆破させること。

パトロール中の鉄也がターゲットにされてしまう。

ビアス直々の頭脳獣だからか、手早く正確に仕事をこなすボンバーヅノー。

前回の詰めの甘いトウメイヅノーと比較すると、ビアスのボスとしての能力の高さがこういう所で垣間見えて面白い。

ボンバーヅノーは見た目は異様だが、声が「超獣機メタルダー」でクールギンやトップガンダーを演じた森篤夫氏のためか非常に落ち着きを感じさせる頭脳獣だ。

受信機を付けられた鉄也は、ギガブレインウェーブで操られてしまう。

まんまとグラントータスに送り込まれた鉄也は、あちこちに爆弾を仕掛ける。

操られていることをわかりやすく表現するため、鉄也の声は抑揚を抑えたものになっている。

ただ、警報機が鳴った際は本当に驚いているようなので感情は残してあるのだろう。

予期せぬ事態に微動だにしない雰囲気からその人物が怪しまれる…… という展開はよくあるが、今回は感情が残してあるため様子の違いに気づくのが難しい。

そのことが物語に緊迫感を与えていた。

鉄也に行動に不穏なものを感じた勇介は、鉄也が爆弾を仕掛けている姿を見てしまう。

見つかった鉄也は勇介達を庇うコロンを何度も銃撃する。この場面はかなり痛々しい。

ボロボロになりながらも、コロンは謎の電波が鉄也を操っていることに気づく。

これはコロンがいてくれないとわからなかった。今回もだが、コロンがいなければ積んでいた場面がこれまでもあった。

どのキャラクターにも見せ場があるのは、やはりメインライターである曽田氏の貫禄だろう。

発砲する鉄也だが、勇介を倒すことはできなかった。

その様子に、ライブマン達は鉄也が完全に操られていないことを信じ説得を試みる。

前回は丈と豪の海での思い出の回想シーンが入り、今回は麻理と卓司が殺害される場面が挿入される。

これまでも何度か使われてきた場面だが、このタイミングで挿入されることで一年間の話にまとまりを感じることができる。

必死の説得を聞きながら、ギガブレインウェーブに抵抗する鉄也。

めぐみ役の森恵さんの泣きの芝居が効いている場面だ。

説得とビアスの命令の間で苦しむ鉄也だが、遂にギガブレインウェーブを跳ねのける。

逆流したエネルギーはビアスにダメージを与え、何とビアスは変わり果てた老人の姿になってしまう。

老人化したビアスのメイクはリアルでなかなか恐い。子どもの頃に見たらトラウマになりそうだ。

恐らく、この老人の姿がビアスの実年齢の姿なのだろう。恐らく80代くらいだろうか?

作戦に失敗したボンバーヅノーはグラントータスごと自爆しようとするが、危機一髪外に放り出されてバイモーションバスターが登場するまでもなく爆死してしまう。

こういう死に方をした敵も珍しい。

「ヒーローと戦ってないじゃん」みたいな突っ込みが飛んできそうだが、個人的には終盤で新しいパターンの展開が登場したのは素直に面白かった。

巨大化させられたボンバーヅノーはスーパーライブロボが撃破。何気に二週間続けての登場は珍しい気がする。

老人化したビアスは果たして次に何を狙うのか。次の話から幹部の退場劇がはじまり、ライブマンは加速していく。