ネコはミカンを片手に夜明けを待つ

日々の中で出会った映画・本・お店、演劇や物などを総合的に紹介する雑記ブログです。

兎はこれから花咲く場所へ

そのメイドに会ったのはコロナ禍が一番酷い時代でした。

もうかなり懐かしい響きになりましたが、緊急事態宣言で飲食店の時短が繰り返していた頃です。

新しいメイドがお店に来たことは知っていましたが、シフトの遅い仕事をしていたのでなかなか会いに行くことができませんでした。

ようやく会いに行けた時は嬉しかったですね。ツーショットチェキを撮ってもらいました。

その子と撮れてとても嬉しかったのですが、その子も嬉しそうな笑顔を浮かべていたことを想い出します。

まだメイドの仕事に慣れていない、だけど何となく堂々とした雰囲気を持った方だと思いました。

 

自分にとって『推し』という言葉は結構特別な意味を持っています。

メイドカフェをきっかけにたくさんの出会いが会って、アイドルや役者など様々なエンタメで活動している方を知りました。

可愛い女の子が好きなオタクですので、色々な女の子を知って応援したいと思った方もたくさんいます。

実際高い頻度で会いに行っている方もいるのですが、それでも私の中で『推し』という言葉を使いたいのは昔応援していた一人のメイドだけなんですよね・・・・・・

 

だけど今回卒業される方に関しては、推しが店を卒業した後に心の寂しさをたくさん埋めてくれました。

だから会いに行った回数もそれなりにあって、この方は私にとって推しと同じくらい大切なメイドさんです。

 

とっても真面目なメイドさんで、いつも一生懸命にお給仕に励まれていました。

いつ頃からこの方のことをハッキリと意識し始めていたのかは分かりませんが、ある時からもっとたくさん話したいという気持ちが強くなったのは覚えています。

話を聞くのがとても上手で色々な話をしました。

時には愚痴も聞いてもらって、それは相手にとって聞くのが辛い時間だったかもしれません。

今思うと申し訳なかったと思いますが、それでもその方は嫌な顔一つせず真剣に聞いてくれました。

「自分が幸せにならないとダメなんだと思う。余裕がないと他の人を幸せにするなんてできない」

いつだったか、こんなことをそのメイドさんに話したことがありました。

相変わらず気持ちは落ち込んでいる時期で、考え込みすぎていた頃です。

「それでは〇〇さんにとっての幸せって何か、それから考えないとですね」

その子がそう答えてくれました。

凄いと思いましたね。私はどちらかというと感情的に物事を考えるタイプなんですが、逆にいうと突き詰めて考えるのが苦手です。

だから論理的に考えられる人に憧れるんですが、そういう意味でその方は凄いと思いました。

 

もちろん、そのメイドさんの言葉の中には相手を思う気持ちが溢れていて優しさもいつも感じていました。

私が一方的に話す特撮とかアニメの話も楽しそうに聞いてくれて、それが本当に楽しくてありがたかったです。

自分自身が楽しんで、そして周りの人に笑顔になってもらう。

そういう気持ちをもってメイドの仕事に取り組まれていたのではと思います。

 

仕事の担当範囲が変わって、前半のお給仕が多かったその方に最後の方は会えなくなったことが残念でした。

気が付けばその方がメイドになって2年。いつか卒業の日が来るであろうことは覚悟していました。

 

でもやっぱり寂しいですね。

 

やっぱり自分にとって特別な時間だったんだと思うんですよ、このお店でこの方に会えていた時間って。

顔を見ると嬉しくなって、話をしているとワクワクする。気持ちの高鳴り。

昔、推しに会いに来ていた時もこういう気持ちだったことを想い出します。

 

先輩や同期が次々と卒業していく中で、寂しさや辛さを感じたこともあったかもしれません。あるいは後輩たちが増えていく中で、先輩としてプレッシャーを感じたことも。

だけど、いつでもこの方は暗い顔一つ見せないでお店とお客さんのために頑張ってくれました。

 

コロナ禍の一番酷い時代にお店に来てくれて、今日までたくさんの人のために尽くしてくれたこの方に心から感謝しています。

色々な話をして、この方と出会って広がった自分の世界もありました。自分が知らなかった場所やものもたくさん教えていただきました。

振り返ると本当に楽しいことばかりでした。

 

人間には本当に色々な人がいます。その中で、やっぱり真面目で一生懸命頑張っている人は素敵ですね。昔このお店で出会った推しがそうだったように。

いつも一生懸命で、自分自身が楽しそうで、だけど目の前の人のことを大切にしていて。

 

顔立ちなどが似ていてたわけではないけど、推しと今回卒業するメイドさんは似ている部分もあったのかなと思います。

そんな素敵な出会いに二度も恵まれたことは幸運でした。改めてありがとうと伝えたいです。

 

この方はメイドを卒業した後、きっとこれまで以上に自分の可能性を広げていく方。

その進んだ先で新しい出会いにも恵まれるでしょう。

だけどその分、これまでにないような大変なことを経験するときもあるかもしれません。

そんな時には少しだけ後ろを振り返って、メイドだった時を想い出してくれたら嬉しいですね。

この場所で出会い、彼女を好きになった人たちのことを想い出して欲しいです。

 

約2年のメイドとしての人生本当にお疲れさまでした。私は貴女と出会えて本当に幸せでした。

これからの貴女の人生が今よりさらに素敵なものになりますように。

新しい未来に向かっていってらっしゃいませ。