第27話作品情報
サブタイトル 娘よ!ギガ計画を射て 放送日 1989年8月27日 監督 東條昭平 脚本 曽田博久 登場怪人 ジシンヅノー
あらすじ
ジシンヅノーと戦うライブマン。苦戦するライブマンを救ったのは熊本からやってきためぐみの父親だった。
感想
いよいよギガ計画も佳境に入って来るライブマン。その前に一旦クールダウンするように挿入される戦隊メンバーの身内エピソード。
めぐみが熊本出身とされたのは、演じる森恵さんが熊本出身のため。めぐみの父・与一郎を演じるのは島田順司さん。
「科学戦隊ダイナマン」ではダイナマンの指揮官である夢野博士を演じたベテラン俳優。他に有名な役としては「はぐれ刑事純情派」の川辺課長など。
ビアスがどこかに消えたと大騒ぎになるヅノーベース。閉じられた空間のはずだが、一体どれくらいの大きさなのだろうか。
一方のビアスは何処かわからない場所で秘密兵器を作っていた。ビアスを見下ろす巨大な影の正体とは……
今回の作戦を実行するのは宇宙人コンビ。いつの間にかコンビが定着してるな、この二人。
ジシンヅノーと幹部の攻撃に苦戦するライブマン。そこに乱入してきたジープに乗った男性。戦場からめぐみだけを連れ出してしまう。
男性の正体はめぐみの父・与一郎だった。「ボルトにいつまで手間取るのか」と詰め寄る与一郎。
この内容だと、めぐみがライブマンだというこは承知のようだ。
普通、戦士になったこと(まして女戦士なら)など身内に心配かけまいと内緒にしそうなもの。素直に話すあたり、この親子の信頼を感じられる。
しかし科学アカデミアの襲撃などが、確実にニュースになってそうなこの世界で「いつまで手間取るのか」とボルトの力を判断する基準は謎。
どれだけ肝の据わった人なのだこの父は…… って、この胆力はもしかして本当に夢野博士!?
親子の会話で熊本弁が使われるが、九州出身の私が聞いても自然な方言になっていたのが良かった。
ボルトを追いかける中で特撮名物「どう見ても何もない原っぱを何故か走っている幼稚園バス」に遭遇しためぐみ親子。
ボルトがそれに乗って逃げたので追跡するが、結局二人とも捕まってしまう。人質がいるため手出しできない勇介と丈。バスが走り去った後に地震が起こる。
ジシンヅノーはバスに乗っていて、地下にいないはずなのに!
実はここがポイント。その謎は次の話で。
バスの車内で、父がお見合い写真を持って来ていたことを知るめぐみ。無理に今連れ戻そうとするのではなく、ボルトを倒した後お見合いさせるつもりだった。
与一郎が戦うことに理解を示しているのはポイント。ライブマンにはこれまでにもボルトと戦う一般人が出てきたが与一郎もその中の一人。
そういえば母親のことは一切触れられないが、もしかしたら既に故人なのかもいれない。それなら、この親子の繋がりの深さも納得がいく。
戦いの中で弓を外した姿を思い出し、父も年を取ったと感じるめぐみ。「親孝行したい時に親は無し」というが、こうした描写は大人になって見てみると実感が湧いてくる。
ライターでロープを焼き切り脱出するめぐみ。その後与一郎の見せ場。バスに乗っている保母も子どもも全てダミーマンの変装と見抜く。
バスが変な所を走っていたのにも理由があったことに納得。このギミックは上手いと思った。
ただ誰もそのことを怪しまないということは。やっぱり特撮の世界のバスは原っぱを走る路線が多いということなのだろうか……
老いてもなお、父は偉大ということが描かれていて良かった。ライブマン放送時でも、世の中の父の威厳は失われつつあったのだろうがシリアスな作品の父親は強いに限る。
勇介達と合流し敵を倒すめぐみ。与一郎は、めぐみを大自然の嫁にしたと言って熊本に帰っていく。
父と娘の絆が描かれたが、それでもギガ計画に勝てるかどうかと珍しく不安を煽るナレーションで物語は幕を閉じる。
めぐみが弓を使うのは、父から受け継がれてきたものだから。めぐみは父の思いも受け継ぎ戦っている。
その思いをさらに強くしためぐみだが、ギガ計画は精神だけで勝てる相手ではない。
このタイミングで親子話が入った理由は、人間の精神論を越えた圧倒的な絶望感を描くための布石ではなかったのかと推測した。
第28話作品情報
サブタイトル 巨大ギガボルトの挑戦 放送日 1989年9月3日 監督 長石多可男 脚本 曽田博久 登場怪人 ギガボルト
あらすじ
遂に出現したギガ計画の集大成巨大ロボ・ギガボルト。ライブロボでも敵わない敵の出現に大ピンチのライブマン。そこに謎の巨大メカとそれを操る青年が現れた。
感想
満を持しての登場となったギガボルト。この頃の戦隊では定着しつつある一号ロボの敗北回だが、ライブマンはそれだけに止まらない展開を見せることになる。
「何かが起こっている」といういつもと感じの違うナレーションでスタート。
前回の直後の話なのか、少し時間が経過したのかは不明だがこれまでにない緊張感溢れる出だし。
とにかくライブマンを演じる俳優陣が走りまくっている。とにかく必死さが伝わり、緊迫感のある雰囲気作りが目指されている。
ライブマンの前に出現するギガボルト。何度もいわれていることだが、黒い甲冑を纏ったデザインがカッコイイ。
機械的ながらも生物の姿も感じさせる頭脳獣と違い、完全な機械であることが一目でわかるデザイン。
わかってはいても、ライブロボを叩きのめす姿は絶望感に溢れている。
前回ビアスがいないとケンプ達が騒いでいたが、地球でギガボルトを作っていたことが判明する。
ギガボルトを操縦するのはケンプ。その理由はビアスの課題に一番最初に応えたのがケンプだからとのこと。
ケンヅノーのギガゾメタルの剣のことだろう。ギガボルトは、ギガゾメタルをビアスが改良したスーパーギガゾメタル製らしい。
意気揚々と説明するケンプだが、結局肝心な所をやってくれたのはビアスであってお前じゃないだろうと突っ込んでしまった。
ギガボルトに敗北しピンチのライブマン。そこに突然謎の巨大メカ・バイソンライナーが出現する。
それに乗り込む勇介達。初対面で悪態をついてくる操縦者の青年は「バイソンの鉄」と名乗る。
さてはこの男、映画「トラック野郎シリーズ」のファンだな!
というのはさておき、「ライブマンがだらしない」など偉そうなことを言う割にはバイソンライナーもギガボルトに歯が立たない。
ライブロボを処刑するというケンプ。そうはさせまいと、鉄が止めるのを聞かずに向かう勇介達。悪態をついてもやっぱり見過ごせず付いてくる鉄。
結果、勇介達に助けられ「世話の焼ける奴だな」とまで言われてしまってる。
ここまであんまり良い所なしの鉄だが、こういう無鉄砲さもライブマンのテーマである「若さ」を象徴していると思う。
勇介達の平和のために戦う純粋さ、ケンプ達のより偉大な者への憧れ、鉄の無鉄砲さ……
様々な方面から描かれる「若さ」。作品を貫く芯が感じられる。
鉄に戦う理由を話すめぐみ。すっかり説明担当みたいになっているが、視聴者の子どもの視点から見たら何となくお姉さんが語ってくれる方が聞き入りやすいだろうなとは思う。
また、過去を思い出し泣くのも女性キャラのめぐみが一番合っているだろう。
無人のライブロボを痛めつけるケンプ。一思いに破壊しないのは余裕の表れだろうか。
ラストは生身でギガボルトに立ち向かい「兄貴の仇だ」と叫ぶ鉄の姿で終わり。
のっけから戦隊の洗礼・ナパームを受けている鉄役の山口正朗さんが大変だ。
ランドライオンもそうだが、バイソンライナーの走行シーンの特撮も非常に凝っていて見ごたえがあった。
また最終的にギガボルトをビアスが手掛けたとすることで、ケンプ達よりビアスは凄いんだと子どもにわかりやすくアピールできていたと思う。
まさにボスの貫禄である。
「弟分がいる」と勇介達に語っていた鉄。緊迫の状況のまま次回へ。