ネコはミカンを片手に夜明けを待つ

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地球戦隊ファイブマン 第5話〜第10話感想

第5話『みなしご銀河卵』

脚本:曽田博久 監督:新井清

第1話に登場したイーヤとトーヤ以外で、初めてゾーン以外のエイリアンが登場して本作の世界観が広がったエピソード。

『家族』という比較的狭い範囲を題材にしているファイブマンだが、本エピソードのようにエイリアンを登場させて話を違和感なく宇宙規模に広げていることに成功している。

またゾーンに滅ぼされた星の被害者を登場させることで、ファイブマンの戦いは自分達だけのためではなく被害者達の思いも背負っていることを視聴者に伝えることとなった。

この辺りは『電撃戦隊チェンジマン』で、チェンジマンの戦いが地球から宇宙全体へ影響を与える展開を描いた曽田氏の経験が活かされている。

もっともファイブマンは、あくまでも星川家周辺で物語が展開するので個人的にはチェンジマンとの差別化に成功していると思うのだが。

銀河卵の行く末に幸せがあることを祈りたくなる、余韻のある話であった。

ちなみにドルドラが独身でザザが卵から生まれた生命体だと判明。

意外とそうした部分にツッコミが入る悪役って少ない気がする。

第6話『働き者は嫌いだ』

脚本:渡辺麻実 監督:新井清

前作『高速戦隊ターボレンジャー』にも参加し、ファイブマンと同時期に放送されていた『勇者エクスカイザー』でも多数の脚本を手掛けた渡辺麻実氏の一作。

少年をメインに据えた展開は、やはりエクスカイザーで少年の物語を描いていた渡辺氏らしく話全体から伸びやかさが伝わってくる。

しかし火事の現場で仕事をサボる消防士など、冷静に考えれば恐ろしい描写もある。

こうした部分を現実的に突き詰めていくとリアリティのある作品になるのだろうが、それだと戦隊のセオリーから外れてしまうので描かれるのはあくまでも爽やかな結末。

改めてこの話を見るとスーパー戦隊シリーズが他の特撮ヒーローと違うのは、リアリティよりあくまでも子どもが見終わって楽しい作品を目指していることだと感じた。

もちろんウルトラマンにも仮面ライダーにもそうした要素はあるが、長い歴史の中でその部分から外れた作品が一つもないのはスーパー戦隊の凄いところだと思う。

次作の『鳥人戦隊ジェットマン』は大人が興味も惹かれる要素を投入したが、それを内包しながらあくまでも子ども達が見て楽しむ作品であり続けた。

何気にスーパー戦隊シリーズの魅力について考えさせられる話であった。

なお第5話と第6話を担当した新井清監督だが、私のリサーチ不足で申し訳ないが詳しい情報がわからなかった。

この時期のスーパー戦隊シリーズやメタルヒーローシリーズで何作か監督を務めているが、他の監督陣と比べると担当した話数も少なく詳しい人物像はわからない。

第7話『45mの小学生』

脚本:曽田博久 監督:長石多可男

学校をサボっている宇宙人というユニークな設定が楽しいエピソード。

これも第5話で、宇宙人が登場しても違和感のない世界観を広げられた成果だと感じる。

サイラギンは子どもでファイブロボと同じくらいの大きさなら、大人はどれくらいの大きさがあるのだろうか?

そんな巨大な宇宙人がわんさかいる星なら、さすがのゾーンもおいそれと簡単には攻め込むことができなかったのかもしれない。

ファイブトレーラーは今回で出番は終わり。やはり単機のメカに比べて活躍の場面を描くのが難しかったか。

本来は未知の惑星で移動するために、一番活躍の頻度が高そうな形態だと思うのだが・・・・・・

スターキャリアと並走する姿なども見てみたかった。

サイラギンに勉強を教える数美が意外とスパルタなことに驚き。

でも考えてみれば長女だし、上の兄を支えることと下の兄弟の面倒を見ないといけないことの間で大変なこともあっただろうからスパルタな性格にも納得できる。

敵の戦闘機を倒しながらの算数の授業は第1話や第2話のシリアスな空気からすると違和感があるが、学校が登場しなくても教師設定をきちんと描いた場面として評価したい。

サイラギンは後に思わぬ形で物語に関わることになる。

第8話『輝け!一粒の命』

脚本:藤井邦夫 監督:長石多可男

ドラマチックな話作りを得意とする藤井邦夫氏のファイブマン初参加作品。

例え罠と思っていても、それでもクリスタル星人サーヤを助けに行こうとする学はまさにヒーローの鏡だと思う。

明るい雰囲気の話が続いていたが今回はシリアス。

生命体でありながら機械の部品にされていたサーヤの姿は、やはりゾーンは凶悪な集団であることを思い出させる。

結局最後は学を救うために命を落としてしまうサーヤだが、ファイブマンの打倒ゾーンへの意思が強まったことを視聴者に伝えるために必要な存在だったと思う。

悲劇の存在だが、最後に学に出会えたことでサーヤの心がわずかでも救われたと信じたい。

第9話『登場ギンガマン』

脚本:曽田博久 監督:東條昭平

もちろんのことながら、星獣と一緒に宇宙海賊と戦ったあのギンガマンではない。

よくいわれることだが、悪役が使っていた名称がまさか後の作品のタイトルになるとは誰も想像できなかっただろうな・・・・・・

しかも今回登場する怪人は『ガガーギン』で、これまた後の作品の主題歌を彷彿とさせるのだから驚き。まあ偶然なのだろうけど。

そのギンガマンだが、ファイブマンは彼らをゾーンだと見抜いている。

ゾーンが地球に来るまでガロア達以外の面々と面識があるようには思えないし、この世界には色々な宇宙人がいるのになぜゾーンだとわかったのだろうか?

もしかしたら話に出ていないところで『こういう奴らが星を荒らしている』みたいに、ゾーンの情報をファイブマンに伝えた宇宙人がいたのかもしれない。

しかしこのギンガマン、ポーズとかかなりファイブマンを研究している。

そしてそんな彼らをあっさりと受け入れてしまう地球の人々。

星川博士が1970年に惑星シドンを訪れていたことから証明されるように、この世界は既に宇宙との交流が広く行われているのだろう。

今回の作戦の目的は催眠電波を世界に広げること。

そのために正義の味方のふりをしたギンガマンだが、当然最後はその企みがバレてファイブマンに負けてしまう。

この回でファイブマンの姿が世界中に放送されることになるが、考えてみれば今後この世界では誰もがファイブマンを知っているという前提で話を展開できることになる。

戦いが終わっても人知れず去っていくファイブマン。

明るい話ではあっても、こうした描写一つで物語が引き締まりヒーローの孤独と気高さを感じることができる。

個人的にとても好きな描写だ。

ギンガマンは今後も終盤まで登場することになる。

第10話『俺の血を吸え!』

脚本:井上敏樹 監督:東條昭平

熱い男のドラマを描くことに定評のある井上敏樹氏のファイブマン初参加作品。

今回も文矢とロマノ星の王子であるゾーバとの熱い友情が描かれる。

井上作品らしく冒頭に食事シーンがある。

そこへゾーンが襲ってくるが、食べすぎて動けないという文矢の描写が面白い。

そして冒頭がコミカルだからこそ、その後のシリアスな展開がいい意味でギャップとなり本作を印象深いものにしている。

故郷を滅ぼされ復讐の鬼となったゾーバだが、その姿はファイブマン・星川兄弟が辿っていたかもしれない一つの可能性の姿だ。

たまたま兄弟が揃って惑星シドンから逃げれたからよかったが、もしも誰かが命を落としていたら彼らもゾーバと同じ運命を辿っていたかもしれない。

ゾーバとファイブマンの対比には、人生はいつも紙一重で何かが分かれてしまうことが描かれていて非常に非常にリアリティを感じる。

そして道を踏み外さず生きてきたからこそ、ゾーバを助けようとうする文矢の姿に思わず感動した。

この回に登場したカブトギンは、見た目の格好良さも強さも一回限りの怪人としては惜しいと感じるほどの存在感。

顔出しの幹部が減った現代のスーパー戦隊シリーズなら、1クールを引っ張る幹部としての登場も十分ありえたかもしれないキャラクターだ。

ドラマ性の強い今回の話だが『固い』というシンプルな個性を打ち出して怪人の魅力もたっぷり描かれた良作だと感じる。


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