こんにちは、管理人の侑芽です。
厳しい状況にさらされた2020年上半期のテレビ界。
予定通り放送があるか心配していましたが、無事新しいウルトラヒーロー「ウルトラマンZ」が私たちの前に颯爽と姿を現してくれました。
ウルトラマンゼロの弟子、防衛チームの復活、懐かしのロボット怪獣の活躍と放送前から大きな話題を呼んだ今作。
「ウルトラマンX」と「ウルトラマンオーブ」でメイン監督を務めた田口清隆監督がメガホンを取ったZの第1話「ご唱和ください、我の名を」は、今後の放送がとても楽しみになるスタートとなりました。
私は特撮の新作を見る時に自分に言い聞かせていることがあります。
それは「この作品ではじめてヒーロー物に触れる子どもの気持ちになる。そのために一旦過去作のことは忘れる」ということです。
こうすることで、作品単独で楽しめるかどうか感じやすくなるからです。
ウルトラマンZもそういう気持ちで見ました。
その結果、細やかな部分にまで力を入れられたZは親御さんがお子さんに安心して見せられるウルトラマンだと感じました。
キャラクターの魅力
ウルトラマンZには色々なキャラクターが登場します。
どのキャラクターも1話を見ただけでその人が「どんな人なのか」がわかるようになっていました。
主人公・ナツカワハルキは優しい熱血漢。冒頭で逃げ遅れた犬を助けようとした姿からそれがわかりますね。
避難所を必死に守ろうとする勇敢な女性隊員・ナカシマヨウコ。
物事に素直に反応する明るい科学者・オオタユカ。
規律に厳しくも、ユーモアがあり隊員思いのヘビクラ隊長。
ウルトラマンオーブでジャグラス・ジャグラーを演じた青柳尊哉さんがどんな隊長を見せてくださるのか楽しみです。
恐らく色々な所からお叱りを受け、苦労している姿に同情を感じるクリヤマ長官。
仮面ライダーウィザードでおやっさんを演じた小倉久寛さんのウルトラマン参加が嬉しいです。
こうして見ると、まるでドラえもんのようにキャラクターの個性がわかりやすくて凄く親切な作品だと感じました。
それは人間のキャラクターだけに留まりません。
メインヒーローのウルトラマンZは、ゼロとの共闘があることで未熟なウルトラマンというキャラがすんなり伝わってきました。
それだけでなく、ハルキと一体化する時の妙な日本語など肉体派のヒーローであることが丁寧に表現してありました。
例えるならドラゴンボールの孫悟空のようですね。
光の国の戦士は、初代ウルトラマンも帰ってきたウルトラマンも流暢に日本語を話していました。
なので、変な言葉遣いはゼット個人の特徴でしょう。
余談ですが、初変身のシーンはウルトラゼットライザーの玩具の遊び方を自然に子ども達に伝える凄い場面だと思いました。
話題を呼んでいるロボット怪獣・セブンガー。パワー自慢のロボット。
戦うだけではなくて、がれき撤去などストレイジの仕事全般を担う頼れる存在です。
ウルトラマンレオでたった一回だけ登場したセブンガー。それでも強烈な印象はありましたが、やはりもっと活躍を見たい気持ちがありました。
この第1話はそんな願いを叶えるように出ずっぱりでセブンガーが大活躍でしたね。
これだけでも大満足でした。
そして肝心の登場怪獣・ゲネガーグ。
結論からいうと、とっても印象的な怪獣となりました。
全身から放つミサイルのような光弾。ウルトラマンゼロを異空間に追放し、ゼットとセブンガーが二人がかりでも倒せない強さ。
「どんなことをした怪獣なのか」がパッと思い出せるんです。ということは心に残るものがあるんですね。
怪獣って本当にたくさんいて、第1話に登場した怪獣でさえ思い出せない怪獣もたくさんいるけどゲネガーグは覚えました。
キャラクター物って、当たり前ですが一番大切なのはキャラクターの魅力だと思います。
ウルトラマンZの第1話は、作品を見るだけでキャラクターのことが色々伝わってくる非常に良い一話です。
世界観の魅力
防衛隊「ストレイジ」が活動していていることから、ウルトラマンZの世界は怪獣が頻繁に出現する世界だということがわかります。
個人的に今作はリアリティを大切にしていると感じました。
色々考え方はあると思いますが、私はリアリティとは「空想と現実の接着剤」のようなものだと思います。
怪獣が出現し、避難する人々を誘導する警察官。
怪獣が暴れて街に被害が出ればビルが壊れる。そのがれきを撤去するセブンガー。
セブンガーはロボットなので電源が必要で、長い時間は戦えないという設定。
怪獣がバラバラになれば肉片が残るので、それを処理する人たちがいる。
冷静に考えれば、ゆるキャラのような巨大ロボットが大真面目に活躍している姿ってかなりとんでもないですよね。
でも、先に挙げたような描写があることで内容が決して嘘だけになっていないんです。
災害が起これば私たちは避難誘導に従わなければならないし、コンセントに繋いでない機械は稼働時間に制限がある。
どんな素晴らしいテーマを秘めた作品でも、私たちは現実から離れすぎた物語に感動することはできません。
自分がウルトラシリーズに出会った頃のことを思い出すと、周りにウルトラマンなど嘘だと言っている子がいました。
もちろん、自分もそれは薄々わかってはいました。それでもウルトラマンを好きであり続けました。
それって、やはり作品の「嘘じゃない部分が出す魅力」に心惹かれていたのだと思います。
ウルトラマングレートで描かれた環境破壊の愚かさ。
ウルトラセブンで描かれたキリヤマ隊長とクラタ隊長の男の友情。
リアリティを出す方法は様々ですが、確実にいえるのはウルトラマンZは世界観を丁寧に描いた誠実な作品であるということです。
大人も思わず唸らされます。
物語の魅力
「堅実」という言葉がぴったりの1話でした。
物語の基本パターンである起承転結。それにきっちりと沿った1話です。
起‥‥‥ ゴメスを撃退するストレイジとゲネガーグを追うゼロとゼット。
承‥‥‥ 地球で暴れるゲネガーグ。それを迎え撃つストレイジとゼット。
転‥‥‥ ゼットとハルキの融合。アルファエッジの登場。
結‥‥‥ アルファエッジの勝利とハルキの生還。セレブロに取りつかれるカブラギ。
奇をてらったものでなく、ウルトラマンと主人公の出会いをきちんと描く王道的なはじまりとなっています。
しかし大きなトピックスもあります。
ハルキが操縦するセブンガーとゼットが共闘してゲネガーグに立ち向かう場面。
ウルトラマンになってない主人公がウルトラマンと肩を並べて戦う姿は、これまでの作品では描かれたことのないものです。
素直に凄く新しいものを見せて頂いた気持ちになりました。
こうした部分にも、常に新しいことに挑戦しようとする作り手の誠実さを感じます。
また、ゼットと戦うゲネガーグを見てどうみても敵だとゲネガーグに立ち向かうハルキ。
ウルトラマンパワード第1話で、バルタン星人を敵と判断したサンダース隊員のことを思い出しました。
なるべく過去作のことは忘れたつもりですが、やはりオマージュ的な場面があると嬉しいものです。
今の時代性を反映した描写もありました。
ゲネガーグの襲来をアプリの通知で知らせる場面です。
いずれはスマホも過去の物になる時代もくるかもしれません。そんな時にこの描写は時代を伝える大切なものになるでしょうね。
今世界中が大変な状況の中にあります。
かってウルトラマンレオが時代性を反映して、困難に立ち向かう武道家ウルトラマンとして登場したことがありました。
偶然かもしれませんが、レオの弟子のゼロの弟子であるゼットが今の時代に登場したのも何か運命を感じます。
様々な作品で前向きな姿を見せる武道家というキャラクターは、今の時代に必要なキャラクターだと思います。
閉塞感の残る現状ですが、是非お子さんにはウルトラマンZを見てパワーをもらって欲しいですね。
魂の物語
とっても面白い1話ですが、唯一「う~ん」と思う点もありました。
あくまで個人的な意見ですが、ウルトラマンの第1話は明るく終わって欲しいのでカブラギの描写は2話とかでもよかったかなと。
それでも、本当に丁寧に描かれていて楽しい1話でした。
ウルトラマンZでメイン監督を務める田口清隆監督は、ウルトラマンの魅力をよく考えられている方だと思っております。
例えば「劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン」という作品。
この作品では過去作のヒーロー・ウルトラマンティガが登場します。
ティガは戦う相手に合わせて基本形態の「マルチタイプ」から力に優れた「パワータイプ」、スピードに優れた「スカイタイプ」に姿を変えます。
ティガは変身する人が複数存在しているウルトラマンです。
劇場版ウルトラマンXに出たティガもテレビ作品とは違う人が変身します。でも、戦う姿はまさしく私が知っている「あの」ティガでした。
何故そう感じたのか?
劇中で的確にタイプチェンジする姿が、かってテレビで観たティガそのものだったからです。
例え別人が変身しても、このウルトラマンは間違いなく以前慣れ親しんだ「あのウルトラマン」と思わせる手腕。
それを持つ田口監督が撮るウルトラマンZはきっ親子二代、あるいは家族皆さんで楽しめる作品となるでしょう。
そしてもう一つ。ウルトラマンZの脚本を担当されたのは先日亡くなられた吹原幸太さんです。
天才バカボンの実写版などで温かいドラマを書かれた吹原さん。
弟子を気遣うゼロや命を大切にするようハルキに伝えるヘビクラ隊長などに、吹原さんの優しさを感じました。
一人の人間の魂の込められた新しいウルトラマンの物語。
一ファンの願いとして、子どもが安心して見れる作品なので是非親子で見て欲しいです。
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