作品情報
サブタイトル:「父と娘の赤い絆」
放送日:1991年3月17日
監督:小西通雄
脚本:宮下隼一
あらすじ
銀豪強盗犯を追跡中のソルブレイン。途中、中光化学社長の一人娘・神崎茜が事故に巻き込まれてしまう。茜の血液型は特殊で、救うには特別な血液が必要だがそれが盗まれてしまう。
感想
「西部警察」で脚本家デビューを果たし、東映製作の刑事ドラマ「特捜最前線」終盤でも脚本を担当。
レスキューポリスシリーズ第三作「特捜エクシードラフト」でメインライターを努めた宮下隼一さんのソルブレイン初参加回です。
刑事ドラマで多数の作品を手掛けてきた宮下さんだけあって、特に登場人物の思惑が交錯する前半は本格刑事ドラマの雰囲気が漂っていました。
冒頭から繰り広げられるカーチェイス。今現在では、余程でないとテレビでは描かれない迫力あるシーンです。
本当にはじまりの部分なんですが、ここだけでも過ぎ去った時代に思いを馳せてしまいました。
そして起こってしまった事故。警察の追跡中に一般人が事件・事故に巻き込まれるというのは刑事ドラマの鉄板ネタ。
ここから被害者の命を救う展開一つに絞っても話は作れそうですが、被害者の父親が経営する会社が警察から内偵を受けている展開を加えてサスペンス色が高めてあります。
「超新星フラッシュマン」の時村博士や「機動刑事ジバン」の柳田役で特撮ファンにお馴染みの石濱朗さんが中光科学社長・神崎栄三役でゲスト出演。
社長と父、二つの立場で葛藤する栄三役を見事な演技力で演じられていました。
立ち位置的には栄三より部下の方が悪人に見え、栄三の方が部下の傀儡のようにも見えたのですが不正はやはり栄三の指示だったんですね。
それにしても、娘に輸血する血液を盗んだ早瀬美穂を爆弾で始末しようとした部下達。
血液を探す様子がまったくないのがロボットみたいで、利己主義に取りつかれた人間の成れの果てのようでした。
一方のソルブレイン。
人の命が懸かっている状況とはいえ、栄三に生死の境を彷徨う娘の声を録音したものを聞かせる正木本部長。
ここは人によって受け取り方が別れる場面ですね。
相手の人間性に訴えかけてると取るか、相手の弱みに付け込んでいると取るか……
第2話でも大樹の同じような場面がありました。
いずれの状況も人命が懸かっていましたが、私はソルブレインが相手のことを信じての行動と捉えたいですね。
改めて見ると本当に難しい描写だなと感じます。特に子どもがメインターゲットの番組なら尚更に。
きっと正しい答えはないのでしょうから、視聴者がそれぞれで考え続けていくしかないのでしょうね。
ブラストアップ後のアクションシーンですが、今回もソルジャンヌとソルドーザーは傍観しているだけ。活躍したのはソルブレイバーのみでした。
前回の「消えた強化スーツ」でもラストで活躍したのはソルブレイバーだけだったので、製作陣の苦心が伝わってくるようです。
エクシードラフトでロボットメンバーを排して、人間の男性メンバー三人に落ち着いた理由がわかってきますね。
主人公が人間である以上、ロボットメンバーがそれより目立ってはいけないので必然的に扱いが一歩引いたものにならざるを得ない。
でも人間ならそれぞれがドラマを作りやすい。レスキューポリスという前例のないシリーズはこうして方向性を模索していったんですね。
ラスト、不正を認めた中光化学。美穂の父が救われたのは良かったですが、ここから会社として受難がはじまりますね。
勿論悪いのは中光化学なんですが、それでもまた新たな怨みが生まれそうです。
また、美穂も恐らく逮捕になるでしょう。明るく終わったように見えるけど、ここはやはり美穂の処遇をきちんと描いて欲しかった。
でないと、重厚な作品なのに最後の印象だけで薄い作品と思われるリスクがある。
今回は前半の展開が面白かっただけに、ラスト周辺がやや残念でした。
ただソルブレインは今見ると確かに色々思うことはありますが、逆に難しいことに挑戦してやりきろうとしている気迫は本当に伝わってきます。
見ごたえある作品だということはここまで見続けて改めて感じました。