こんにちは、管理人の侑芽です。
実は今これだけ書くのに30秒くらいかかりました。というのも、ブラインドタッチが上手くできなくて。
意識してやってみると驚くほど指がキーボードの位置を覚えていない。
バックスペースがNumLockになるは¥になるはで‥‥‥
これを猛スピードでやれるOLさんとか本当にカッコいいと思いました。
まだパソコンやワープロが想像すらされていなかった時代、手書きの文書をタイプライターを使って清書するタイピストという職業がありました。
タイプライターとはあれですよ。「仮面ライダーW」で左翔太郎が事件解決後に報告書を書いてたあの機械です。
今回紹介する映画「タイピスト!」は1950年代のフランスを舞台に、タイピスト世界一を目指す女性の努力と恋愛を描いたシンデレラストーリーです。
感想
まずストーリーがいいと思いました。
恋愛映画って、いってみれば「恋が実る」か「恋が実らない」かの結末しかないじゃないですか。
それでも映画のジャンルとして不動の地位を保っているのは、観る人が「やっぱり恋っていいな」みたいな安心感を求めているからだと思うんです。
その点、今作は直球のストレート作品です。
主人公のローズ・パンフィルは華やかな世界に憧れる田舎の女の子。
タイプライターを、一本指を使ってだけでですが素早く打つことができる。
運よく保険代理店の秘書の仕事に採用されるものの、タイプ以外の仕事は全然駄目。
この時点で、観客はローズの目線になります。ローズと同じように田舎出身の私は観始めてすぐにローズになってました。
保険代理店を営むルイ・エシャールは仕事をしたいならタイプライターの早打ち大会に出ろとローズに命令します。
そこで負けたローズをルイが特訓して、次第に二人の間に愛が‥‥‥
というのがあらすじ。
具体的な作品名はわからなくても、コーチと生徒が恋愛になるみたいな展開はどっかで聞いたことある話でしょう。
でもそんなよくある設定を使ってダレてない印象なのは、本作がタイプライターを使った女のバトル物だから(笑)。
実際、地方大会からフランス全国の大会、そしてアメリカで開催される世界大会へと主人公が努力の末に勝ち上がっていく流れ。
古い作品ですが、車田正美先生の「リングにかけろ」を彷彿として熱いんですよ。
まさか文章を打ち込むことがバトルとして成り立つなんて思ってなかったので意外性がありました。
また、タイプライターを打つ「カタカタカタカタ」って音も小気味よくて良かったです。
まるで正確なダンスのステップのような規則正しい音の流れは、不快感がまったくない。
本物のタイプライターの音を聴く機会なんてまずないですが、何か凄くいいものだなと思いました。
ルイという人は戦争でのトラウマから人に奉仕することを大事にしています。
反面、何事にも一歩引いてる様子です。
それは何故なんだろうと考えた時に、この人は失うことを恐れているんじゃないかと感じました。
だけど、その心がローズとの恋愛でほぐされていく。
気持ちいいくらいに王道の話で「最近、直球のラブストーリー観てないな」という方に特にお勧めです。
あと、パリに向かう時にローズとルイが乗ってる車!
これぞ遠き時代という感じの柔らかさを感じるデザインがいいですね。
自分的にここは「う~ん‥‥‥」と感じたのが、一か所ガッツリしたラブシーンがあるんですよ。
でも映画の雰囲気は少年漫画的なんで、あんまり艶っぽい演出は今作には合わなかったように思います。
でもローズを演じたデボラ・フランソワは滅茶苦茶可愛いし、ファッションやタイプライターはお洒落でビジュアル的にも見どころ満載。
見て絶対に損はない映画です。
映画「タイピスト!」はアマゾンプライムで配信中。
日本のタイピスト
日本でも文書が手書きが主だった昭和の初期の頃はタイピストとして働く女性がたくさんいました。
今のようにネットなどない時代です。
書かれてある文書に書き間違いや情報の誤りがあった場合、それを修正するのもタイピストの役目だったそうです。
ということは、タイピストとは単に早くタイプを打てばいいというわけではなくて教養をたくさん身に付けるのが大事だったということになりますね。
映画「タイピスト!」の中でローズがランニングで体を鍛える場面があります。
タイプ打つのに体力いるの? と最初は思いました。
でも、タイプライターはパソコンのように間違えた文章をすぐ消すことはできません。
間違えたら最初からやり直し。
物凄い根気と体力が必要だったことが想像できます。
タイピストが女性の憧れだったのは単に見た目の格好良さだけじゃなくて、マルチに色々なことを身につけた姿が素敵だったからだろうなと思います。
こうした部分を頭に置いて映画を観ると、何故女性たちがタイピストをスーパーヒロインのように考えていたのかがわかってきましたね。