放送データ
タイトル:超古代の光と闇
登場怪獣:ヒュドラム、ガゾート
放送日:2021年7月24日
監督:坂本浩一
脚本:ハヤシナオキ
あらすじ
ケンゴたちの前に『宇宙一のトレジャーハンター』を名乗るイグニスが現れる。同じ頃最後の闇の巨人であるヒュドラムも出現し、ユナが誘拐されてしまう。
感想
スカイタイプ、ヒュドラム、イグニスとメインキャラクターが揃い1話から続くパイロット版のラストとなるエピソード。
色々と詰め込んであるが、それでも各要素に限ればかなりまとまった話だったと思う。
イグニスの飄々とした雰囲気は演じる細貝氏が『海賊戦隊ゴーカイジャー』で演じたバスコを彷彿とさせる。
ただ本性が残虐だったバスコと違い、イグニスは闇の巨人に恨みを持つ被害者のようだ。ユナを狙い、トリガーのことも知っているイグニスが今後どう物語に絡んでいくのだろうか?
そのイグニスと浅からぬ因縁がありそうなヒュドラム。
元ネタはティガの劇場版に登場したヒュドラだが、元ネタと一番キャラクターが変わっていて個性が出ていた。
普段は紳士的な口調だが切れると態度が豹変するという二重人格は、残虐さだけしか個性がなかったヒュドラと比べるとある意味で人間臭さを感じられる。
力はカルミラに評価されているようだが、メンタルの不安定さが小物臭さも感じさせカルミラの部下という立場にしっくりくる。
残念なことにそんなヒュドラムの割を食ってしまったのがガゾートだ。
前回のギマイラと同じく、闇の巨人の前座扱いにされてしまっている。
GUTSファルコンを襲いトリガーにそれを守らせ、GUTS-SELECTとトリガーの信頼を生むという役目はあるのだがそれなら一話まるまるヒュドラムが敵でも良かったのではと思ってしまうのだ。
トリガーがGUTSファルコンを守る場面にしても、どうしても無人機であるが故に見ている側としてはスリルが足りない。
トリガーとGUTS-SRLECTを繋ぐ重要な場面だが、例えば過去のウルトラシリーズで被弾したメカをウルトラマンが受け止めそっと地面に下ろし、乗っていた隊員がウルトラマンに安堵の笑顔を見せた時のような熱さが感じられないのだ。
これは無人機という新しい要素にチャレンジしたが故の弊害だろう。
ただ恐らくこうしたことは、製作者も実際に番組を作ってみないと見えてこない部分だと思われる。番組作りとは難しい。
ユナとユザレの謎はあっさり解明。ユザレは思念体となってユナに憑依していて、ユナはそのことを知らない。
いつどこでユザレが憑依したのかはわからないが、こんなに早く謎が解けるとは思わなかった。
そのユザレとヒュドラムの会話の中で登場した本作の重要なポイントになるであろう『エタニティコア』とは何か。
新しい謎が登場し次回へと続く。
1話から見てきたが魅力的な部分もある反面、なかなか厳しい部分も感じられる。
個人的には以下の2つ。
・怪獣の扱い
・トリガーの頼もしさの欠如
トリガーをヒーロー物でなく怪獣物として見た場合、登場怪獣が全て闇の巨人の前座なのはやはり辛い。怪獣には重要な役割がある。
ゴルバーは新規怪獣とはいえ、ゴルザとメルバの合体なのでオリジナリティはない。
ギマイラとガゾートは過去の怪獣なので彼らにもオリジナリティはない。
つまりウルトラマントリガーにはこの時点で純然たる新怪獣がいないのだ。
新怪獣は最初にヒーローを印象づける存在であり、同時に作品の世界観を構成する最も重要な『コア』といっていい。
そのコアが抜けているということは今ひとつ作品に入っていけないということである。
さらにトリガーが最初から武器持ちのキャラクターであることも厳しい部分だ。
いや武器を使う事自体はかまわない。ただ中盤でパワーアップして武器を手に入れるならともかく、最初からそれが必殺技にされてしまうとどうしてもトリガーに力強さを感じられない。
ウルトラヒーローの魅力の一つは彼らが繰り出す光線技だ。
神秘の巨人の内側から溢れ出る力、大怪獣すら打ち倒す力強さ。光線技にはそうした憧れが詰まっている。
しかしトリガーにはそれがない。とどめを刺せないデラウム光流やランバルト光弾に寂しさを感じたのは事実である。
厳しい意見が多くなってしまったが、ケンゴとアキトとユナという若いメンバーを中心とした作風は見ていて清々しい気分になる。
他にも、久々に防衛チームの隊長らしさ全開で描かれるタツミセイヤのキャラクターも魅力的だ。
まだどう転ぶかわからない本作を引き続き見守っていきたい。
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