※当サイトはAmazonアソシエイト・プログラムの参加者であり、リンク先の商品の購入に応じて紹介料を受け取っています。
- 特撮番組の主役は誰か?
- 何も決まっていなかった『光の巨人』
- 『ウルトラマンになった男』古谷敏の葛藤
- 『特撮の神様』円谷英二との出会い
- 「怪獣を倒さない」という選択
- 磨き上げられた「洗練のアクション」
- 永遠のヒーローへの敬意
特撮番組の主役は誰か?
特撮番組の主役は誰か——。 現在放送中の『仮面ライダーゼッツ』なら万津莫でしょうし、ゴジラシリーズなら「ゴジラそのもの」と答える人もいるでしょう。
推しキャラこそが主役だと考えるファンもいれば、ヒーローのスーツをまとい、命を懸けてアクションを演じる**「スーツアクター」**こそが主役だという視点もあります。
今でこそスーツアクターの知名度は上がりましたが、国産特撮の黎明期はすべてが手探りでした。2026年に誕生60周年をむかえる日本を代表するヒーロー、**「ウルトラマン」**も例外ではありません。
何も決まっていなかった『光の巨人』
宇宙から来た光の巨人、腕をクロスして放つ光線。 今では当たり前の設定も、第1作『ウルトラマン』の開始当初は何も確立されていなかったのです。
しかし、その試行錯誤こそが作品に自由な空気を与え、シリーズの礎を築きました。光線だけでなく、手から出す水、投げ技、寝技……。
ウルトラマンの万能なアクションは、当時の「正解がないゆえの自由さ」から生まれたものだと私は感じます。
『ウルトラマンになった男』古谷敏の葛藤
この伝説のヒーローを初めて演じたのが、古谷敏(ふるや びん)さんです。 彼の著書**『ウルトラマンになった男』(小学館)**には、前例のないヒーローを演じた日々が鮮明に綴られています。
ウルトラマンのデザイナーである成田亨さんに主役はウルトラマン、すなわち古谷さんだと口説かれ引き受けたヒーロー役。
しかし俳優である自分が、顔の出ない役を演じることに古谷さんは激しく葛藤します。そんな彼の背中を押したのは、大好きだったおばあさんの言葉でした。
『特撮の神様』円谷英二との出会い
過酷な撮影、誰にも正解がわからない演技。
脚本家の金城哲夫氏と対話を重ね、「カッコいいウルトラマンを必ず作る」と決意した古谷さんですが、現場では孤独を感じることもありました。
初めての撮影会。華やかな隊員服を着た俳優たちを仮面越しに羨ましく見つめていた古谷さんに、一人の人物が声をかけます。
特撮の神様、円谷英二監督でした。 監督が呟いた小さな声は、仮面の奥までは届きませんでした。しかし、その存在こそが、古谷さんを支える大きな柱となったのです。
「怪獣を倒さない」という選択
一度は過酷さゆえに降板を考えた古谷さんを思いとどまらせたのは、バスで偶然耳にした子どもたちの会話でした。 「ウルトラマン、かっこいいよね!」 その純粋な応援が、彼に再び力を与えます。
次第にキャラクターについて深く考えるようになった古谷さんは、金城氏にこう提案したといいます。 「怪獣を殺さない話があってもいいのではないか」
その想いから生まれたのが、第20話「恐怖のルート87」です。守り神である怪獣ヒドラを倒さず見送るウルトラマン。このファンタジックなエピソードは、今なお根強い人気を誇っています。
磨き上げられた「洗練のアクション」
物語後半、古谷さんの演技は極限まで洗練されていきます。
特に第31話「来たのは誰だ」で見せる、怪獣ケロニアへのジャンプキックから後転して立ち上がる一連の動作。
これはまさに、古谷さんの努力が結実した**「美しすぎるアクション」**の象徴です。
この隙のない構えと動きは、後年の海外リメイク作『ウルトラマンパワード』などにも色濃く継承されています。
国境を越えて愛されるヒーローのシルエットは、古谷さんの肉体によって完成されたのです。
永遠のヒーローへの敬意
最終回の撮影を終えた古谷さんは、脱ぎ捨てた仮面を見つめ、静かに**「ありがとう」**と語りかけたそうです。
『ウルトラマンになった男』は、特撮ファン必読の書であると同時に、仕事や人生に迷うすべての人に勇気を与えてくれる一冊です。ウルトラマンは一人で戦っていたわけではありません。多くの人々の情熱と繋がりが、この奇跡のヒーローを生んだのです。
ウルトラマンが誕生60周年という記念すべき年をとなる今だからこそ、私はその原点である「初代」を、そして古谷敏さんの功績を愛し続けたいと思います。
