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はじめに
未だに海外には行ったことがありません。
行きたいとは思いますが、正直、恐いです。
それでも、やっぱり憧れますね。
だから、旅行記や旅に関するエッセイを読むのが好きなんです。
今回紹介する『旅がなければ死んでいた』は、大爆笑必須の旅エッセイ本です。
それだけでなく、幸せを考えるヒントもたくさん詰まっています。
私と同じような思いを抱えている方、この本を読んで世界を巡る旅を体験してみませんか?
書籍情報
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タイトル:旅がなければ死んでいた
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出版社:KKベストセラーズ
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発売日:2019/7/1
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作者:坂田ミギー
あらすじ
30歳を過ぎて全力で働き続けてきたミギーさんは、ある日、体を壊してしまいます。
幸せになるために働いていたはずが、現実は真逆。
これまでの価値観を変えるために世界を巡る旅に出る決意をします。
しかし、旅に出る直前に恋人の浮気が発覚し、失恋。
そのショックを抱えたまま旅立つことに。
馬に乗ればお尻が痛くなり、部屋を世話してもらえばヌーディストに出会い──そんな旅の中で、ミギーさんは「幸せ」について考えていきます。
感想
私が旅の本を読むときに楽しみにしているのは、「どれだけぶっ飛んだ人が出てくるか」です。
自分の価値観と照らし合わせて、どれだけ突き抜けているか。
もちろん、海外の俳優やミュージシャンにも癖の強い人は多い。でも、一般人でぶっ飛んでる人の方が親近感が湧くんですよね。自分の立場に近いから。
そういう人たちに出会うと、「世界の広さ」を感じて、自分の価値観が変わるんです。
この本には、そんな人たちがたくさん登場していて本当に面白い。
例えば、ギリシャのガヴドス島。
凄く綺麗なビーチのある島で、そこではみんな全裸。
服を着ている方が異端という価値観。
男性がフランクに女性にそういうお誘いをすることもあるそうですが、いやらしい感じではなく、皆が自由で穏やかに過ごしている。
日本にずっと住んでいると、なかなか想像できないですよね。
インドの警官も凄い。
とにかく腐敗していて、押収したブツを公衆の面前で吸い始める。
しかも、それをミギーさんにすすめてくる。
悪徳警官が横領する場面は映画やドラマで見たことはあるけど、公然と吸うなんて──現実が空想を越えてる、そう思いました。
私が最高に好きなくだりは、ブラジルのアルトパライソの話。
UFOの目撃がとても多い街・アルトパライソ。
日本に住むブラジル人の友人の紹介で、その従兄の家に泊めてもらうことになったミギーさん。
翌朝、トイレに行こうとしたとき、見たのは全裸で寝ている従兄──。
再び通ると、今度は全裸で椅子に座っている。
実はぼく、全裸主義者なんだよ
引用:旅がなければ死んでいた/KKベストセラーズ
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ええっと、この流れについてこれます?
一気に「ガハハ」と笑うんじゃなくて、一度本を閉じてからじわじわ来る感じ。
芸人のヒロシさんのネタに似た感覚──派手さはないけど、後から思い出して笑える。
この「じわじわくる感じ」が私は最高に好きです。
本当にね、色んな人がいるんだなと思います。
もちろん、日本の中でも様々な人がいます。
でも、それは日本のルールの中での多様性。
「世界まる見え!テレビ特捜部」で紹介されるような、世界の人たちのバカバカしい挑戦を見ると、「ああ、こんな人もいるんだな」と思える。
そういう世界レベルの感覚に触れると、小さな悩みなんてどうでもよくなってくる。
世界の広さと人間の広さは直結している。
それが、この本を読んで感じたことです。
幸せのヒント
ミギーさんが旅に出た理由は、「生きづらさの原因」を探すためでした。
そして旅の中で、さまざまな価値観に出会っていきます。
「生きづらさ」──今の時代と切っても切り離せないテーマ。
それを感じている人は多いのではないでしょうか。私もそのひとりです。
ネパールのムスタン。標高4000mにある首都ローマンタン。
その少年僧学校の校長先生が、ミギーさんに語った言葉。
欲は尽きないものであること。たとえば、より良い異性を追い求める人は、何人の異性をモノにしてもその気持ちに終わりがないこと。それは、愛ではなくて、欲でしかないこと
引用:旅がなければ死んでいた/KKベストセラーズ
欲をなくすのは難しいと答えるミギーさんに、校長は続けてこう伝えます。
1日2回、「自分の人生」について考えてみてください。長い時間でなくていいんです。「自分にとって、よく生きる」とは何か。「あなたの本当の成功」とは何か。毎日考えてみてください。それだけです。
引用:旅がなければ死んでいた/KKベストセラーズ
お金、恋人、名誉、地位、家族──
人によって「よく生きた証」や「成功の証」は様々でしょう。
でも、自分が望むものは本当に自分の望みなのか?
幼いころから刷り込まれてきた「幸せとされるもの」を、自分の望みだと勘違いしていないか?
その答えは、自分自身で見つけるしかない。
だからこそ、考え続けることが大切なのだと感じます。
ケニア・ナイロビのスラム街で育ったマサイの絵描き・アシフ。
スラムの子どもたちに絵を教える彼は、こう語ります。
だってさ、希望を生み出せなかったら生きていけないじゃない。自分に希望がないと、「他人の希望を奪うこと」に心が向かっていくんだよね。
引用:旅がなければ死んでいた/KKベストセラーズ
生まれる場所は選べない。起きたことは変えられない。
でも、それを変えたいがために、誰かを屈服させたいと思ってしまう。
誰かを見返して、誰かを跪かせて、誰かから何かを奪って──
それは、果たして希望と呼べるものなのか。
奪うだけの人生に、本当に意味はあるのか。
この他にも、本の中には多くの人の言葉が登場します。
最終的な「幸せ」は自分で選ぶしかないけれど、
色んな国で生きる人々の「幸せの形」に触れることは、
きっと自分の人生を考えるヒントになるはずです。
まるで映画のようなラスト
多くの国を旅したミギーさん。
最後に、とても親切な人と出会います。
その出会いが、素敵なラストへと繋がっていきます。
──でも、それはぜひご自身で確かめてみてください。
読後には、一本の映画を観終えたような気分に包まれました。
それも、とびきりポジティブなストーリー。
読んだ後、明るい気持ちになれる素敵な一冊です。
ミギーさんが出会った人々の言葉が私に届いたように、
このブログがきっかけで、いつか誰かにこの本が届いたら。
──そんなふうに思っています。