ネコはミカンを片手に夜明けを待つ

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鳥人戦隊ジェットマン『三魔神編』に個人的に思うこと

1991年放送のスーパー戦隊シリーズ『鳥人戦隊ジェットマン』。

物語の中盤である第30話から第32話は、ジェットマンと敵組織『バイラム』の戦いに第三勢力である人類の天敵『三魔神(ラモン、ゴーグ、ムー)』が加わり激しい戦いが繰り広げられた。

ようやく成就したブラックコンドル=結城凱のホワイトスワン=鹿鳴館香への思い。ジェットマンの新ロボ『テトラボーイ』の登場。敵幹部マリアの正体が死んだと思われていた恋人であったことを知り現実逃避するレッドホーク=天堂竜。その姿を見た凱が竜にぶつけた熱い言葉。そしてマリアとの戦いの中で自分を取り戻した竜を含めたジェットマンはついに三魔神を打倒し、ここにきてようやく一つにまとまり真の意味でのジェットマンとしての日々が始まる・・・・・・

 

脚本は本作のメインライターである井上敏樹氏。

見どころ満載でジェットマンを語る上では絶対に外せないエピソードだ。

 

しかしである。

本作をリアルタイムで見ていた私も印象に残っており、大好きな話であるこの一連の『三魔神編』にも今見てみると「もっとこうだったらよかったのでは」と思う部分がある。

放送が終わって30年が経とうとしている作品に今更こんなことを思うのは野暮というもの。そのことは分かっている。

断っておくが私には、本作の粗を探してそれを非難しようという気持ちは全く無い。

ただ今この時期になって再び作品を見返し、これまで色々な映画や本などの創作物を見てきた今の自分の感じたことを整理しておく意味でこの記事を書く。

 

前述したように熱さ満載の『三魔神編』だが、個人的にこのエピソードに登場する敵が三魔神でなければならない必然性があまり感じられなかった。

確かに悪役として三魔神のキャラクターは魅力的だ。人間を果物にして食べる場面は子ども心にトラウマになるレベルで真剣に怖かった。

回によってはコミカルな演出もあったバイラムの次元獣や、グレイを除いて素顔の俳優陣が演じたバイラムの幹部たちとは異なる恐ろしさと存在感。

三話にまたがるエピソードに登場するには申し分ないキャラクターたちだ。

 

しかし『三魔神編』で描かれるのはこれまでまとまりきれなかったジェットマンがやっと一つとなる過程である。

そこに絡んでくるのが宿敵であるバイラムではなく、ジェットマンに何の因縁もないぽっと出の三魔神では今風にいえば『エモさ』が今ひとつ湧いてこなかった。

 

これが例えばバイラムが送り込んだ物凄く強力なバイオ次元獣が相手ならどうだろう。最終的にそれを倒すことでジェットマンが解散の試練を乗り越え、バイラムの侵略に風穴を開けた爽快感をもっと演出できたように思う。

テトラボーイにしても強力になるバイラムの怪人を打ち倒す姿が初戦で描かれれば、もっとジェットマンとバイラムの戦いが熾烈を極めていく様子を視聴者に伝えられたと個人的には感じている。

物語上とても大切な話ではあるが三魔神はあくまで外部戦力なので、彼らを倒したといってもバイラムにさしたるダメージはない。

あるとしたらラモンとゴーグを合体させるのに使ったバイオ次元虫数体だろうか。とはいえそれだけでは戦力を削ったということにはならないだろう(次元虫が残り数体なら話は別だが)。

 

レギュラー化しない第三勢力というのは扱いが難しい。

短い間しか登場しないからこそ視聴者の記憶にも残るし、作品の世界観を広げる効果が出せるメリットもある。

だが三魔神に関しては登場した話が彼らの活躍よりジェットマンの危機と再生に尺が当てられていたため、今ひとつ彼らを敵として登場させるだけの説得力が欠けていた。

三魔神がベロニカや隕石ベムのように後の話で登場していたら、結束したジェットマンへの大きな試練を与えるキャラクターとしてもっと強い存在感を出せたかもしれない。

 

一方で人類の天敵を倒すジェットマンという構図はこれまで一般人の集まりでなし崩し的に戦ってきたジェットマンが人類の救世主、ヒーローとして再誕したことを表現しているようにも感じる。

三魔神に子どもが果物にされる場面は恐ろしかった。数多い特撮番組でも子どもが直接被害者になる場面は少ない。

描写されていないが犠牲者家族の悲しみは計り知れないだろう。

そんな恐怖の存在を打ち破ったジェットマン。

それは最早無理やり集まった素人たちではない。地球を守るスーパー戦隊だ。

 

物語も中盤にてようやくスーパー戦隊となったジェットマン。その演出に貢献した三魔神たち。

いつの日かまたスーパー戦隊シリーズでヒーローたちの壁となって立ちはだかる彼らの姿が見れることを、リアタイ世代として強く願う。