「お前なんだろ!え!そうなんだろ!?」
放送情報
タイトル:「ウルトラの星へ!! 第3部 U(ウルトラ)艦隊大激戦」
放送日:1980年3月19日
脚本:吉川惣司
感想
亜空間を抜けてU40に向かうウルトラ艦隊。
ヒカリはジョーニアスに自分たちの秘密を話したいと語るがジョーニアスはその時は近いと語る。
最終章だけあってヒカリも焦っているように見えるが、今までの責められてる様子を見れば気持ちは分かる。
また、これまでのように単体の怪獣や侵略者たちが相手でない状況では秘密を隠し通すのも限界だろう。
ヒカリがウルトラマンではないかとトベに話すマルメ。ウルトリアのコンピューターでこれまでのヒカリの行動を解析しヒカリとウルトラマンが同一人物である可能性をトベは割り出す。
ウルトラ人の船がヒカリが必死に守っている秘密を暴いてしまうのはどうかと思うが、どうせ違うと答えてもマルメたちの疑いは今更消えないだろう。
U40への途中で宇宙空間に追放されているウルトラ人を回収するウルトリア。
ウルトラ人は仮死状態になれるから心配ないというエレクとロトだが、実は彼らの身体に爆弾を埋め込んだヘラーの罠だった。
かなりショッキングな描写に胸が苦しくなる。今まで地球人が侵略者の犠牲になることはあっても、大量のウルトラ人が犠牲になる描写は過去の作品には無かった。
バデル族との戦いでも相当の犠牲者は出ているはずだが、直接的な死を見せられるとやはり重みが違う。
人間爆弾の爆発を機にはじまる総力戦。
ここに来て本格的にヘラーがその姿を見せる。
「ウルトラの戦士は一人で戦艦10隻に相当する」と語るヘラー。
1人のウルトラ戦士が地球の科学力を超えた戦艦のさらに10隻分の力を持っているとは、ヘラーが最強のジョーニアスを警戒するのもよくわかる。
考えてみれば、ヘラーはこれだけカリスマ性があるのだからかってのウルトラ戦士の一人だったのではないだろうか。
征服欲も力をもって戦っていく中で芽生えたものかもしれないが、ヘラーの変身体があればどんな姿か気になる。体に黒色が入るのだろうか。
U40の間近に迫るウルトリア。しかしヘラーがウルトラマインドを使って攻撃してくる。
被弾するウルトリアだがそれを逆手にとってU40への潜入に成功する。
バデル族の時もそうだがウルトラマインドはよく盗まれるな。
ヘラーはウルトラ人だったから取り扱い方を知っているとしても、誰にも利用されないように厳しいセキュリティを付けられないものだろうか。
まあ、U40に侵攻してこようなんて輩は十中八九ウルトラマインドが目的だろうからどれだけセキュリティを上げてもぶち破って来るのかもしれないが……
U40に不時着し爆発してしまうウルトリア。
流石のウルトリアも一隻ではヘラー軍団には対抗できなかったが、ウルトリア以上に強い物が何であるかがこの次の最終話で描かれることになる。
エレクたちのピンチにヒカリと一時分離するジョーニアス。
「私に頼るな」と言い放つジョーニアスには随分冷たい印象がある。
親玉のヘラーを打ち取ったほうが早いと思うのだが、この判断をどう考えるか。
もちろん、エレクたちが全滅する可能性を恐れたこともあるだろう。
だがジョーニアスはヒカリをはじめとした科学警備隊に自分への依存心があることを見抜いていたのだろう。
ここで自分が手を貸せば科学警備隊は依存心から抜けられない。それでは例え勝ったとしても本当の意味で彼らの勝利にはなりえない。
U40が全滅するかどうかの瀬戸際だが、それだけジョーニアスは科学警備隊を、もっといえば地球人を信じようとしてくれたのではないだろうか。
アミアと大賢者救出に向かう科学警備隊。
これがヘラー軍団の兵士相手に無双してとにかく強い。白兵戦なら歴代チームの中でトップではないだろうか。
大賢者を助けたければジョーニアスが誰か白状しろと迫るヘラー。
皆がヒカリを見つめる中ついにマルメがヒカリに詰め寄る。だが勿論変身することはできない。
アミアの奮戦むなしく原子分解されてしまう大賢者。
絶望に沈むヒカリで幕を閉じる。
シチュエーション的にジョーニアスに頼むしかない状況なので科学警備隊に落ち度はないようにも見える。
ただ、結局指を咥えて見ていることしかしなかったことが問題だったのだろう。
この回の絵コンテは機動戦士ガンダムを終えた富野由悠季監督が手掛けている。
人間爆弾の描写にザンボット3を思い浮かべた人も多いだろう。
後にも先にも富野監督が携わったウルトラマンを見れる機会は本作だけだ。