ネコはミカンを片手に夜明けを待つ

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特救指令ソルブレイン第1話感想 「東京上空SOS」

私とソルブレイン

特救指令ソルブレイン」放送当時私は4歳でした。

作品のことは好きで、誕生日にソルドーザーを買ってもらったり家にケルベルスΔがあって遊んでいました。

ただ、同じ年に放送されていた「鳥人戦隊ジェットマン」はわりと記憶があるんですが、ソルブレインに関してはそれがほとんどありません。

放送時間が早朝だったので寝ぼけ眼で見ていたせいかもしれないし、小さかったので話が難しかったのかもしれません。

特捜エクシードラフト」になると話の内容もソルブレインより覚えているのですが。

ソルブレインを全話しっかり見たのは、数年前のYouTube公式配信の時でした。

ガッツリとした関りではないかもしれないけど、それでも幼い私がソルブレインを好きだったことは確かです。

人命のみならず心も救う」という難しいテーマに挑戦した意欲作。

ニコニコ動画での配信を機に、改めてソルブレインに向き合えたらと考え感想を綴りたいと思います。

作品情報

サブタイトル:「東京上空SOS」
放送日:1991年1月20日
監督:蓑輪雅夫
脚本:杉村升

あらすじ

ウインスペクターがフランスに旅立った後、日本では新たな組織・ソルブレインが活動していた。

ある日街を強大な飛行物体が襲う。捜査を行うソルブレインは、疑似頭脳A320が関与していることを突き止める。

感想

記念すべきソルブレイン第1話。

一言でいうと「父親が生き残った仮面ライダーZO」です。

脚本が同じ杉村升さんだからでしょうが、科学者の父とその息子。そして父が研究していた人工生命体という構図はそのまま仮面ライダーZOですね。

ウインスペクターと同じく、1話の時点でソルブレインは既に結成済みの組織です。

そのため、メンバー同士が初めて顔を合わせるといった場面はありません。

こうしたはじまり方は、同じ東映が制作した刑事ドラマ「特捜最前線」を彷彿とさせます。

ウインスペクターの最終回からソルブレインの1話まで、どれくらい時間があったのかはわかりません。

救助場面で少年がソルブレイバーの名前を知っていたので、この時点でそれなりに存在が知れ渡っていることが想像できます。

新たな主人公の西尾大樹。竜馬よりさらに熱血な性格の持ち主ですね。

演じる中山幸一さんのまだ演技に慣れていない一生懸命さが、上手く大樹の熱さにマッチしてると思います。

特に科学のために息子を犠牲にしようとする博士に叫ぶ場面。

ストレートに大樹の怒りが伝わってきました。

第1話というだけあってアクションも凄い。

冒頭で車が何台も壊れるんですが、まるで西部警察のような迫力。スタッフの気合いを感じます。

色々な要素を出し惜しみせず、ソリッドステイツIの活躍まで1話で収めるテンポが面白かったです。

一方で、優子のような肉親の描写が大樹にはない。

大樹のバックボーンやパーソナリティーがわからないので、この時点ではまだ大樹に深い感情移入ができませんでした。

ZOのドラスが自分を完璧にするために望月博士を生かしていたのに対し、A320は開発者の稲垣博士を殺そうとする。

それはA320が目標達成の手段を見つけたためなんですが、ドラスも完成していたら望月博士を殺していたんだろうなと感じました。

ゲストキャラの話が中心なので、ソルブレイン側の人物の個性が十分に描けていなかったように感じました。

ただ、肝心のヒーローの活躍場面はお腹いっぱいになるほどの爆発で満足出来ました。

戦闘らしい戦闘場面はほとんどありません。

だけど、命がけで人を助けるヒーローの姿は滅茶苦茶カッコいい。

ウインスペクターでもそうでしたが、ソルブレインにも間違いなくそれは引き継がれています。

やっぱり心が熱くなってきましたね、ソルブレイバーが登場すると。

自分の心の中の原風景を見るような感じがしました。

色々な要素を詰め込み過ぎた感じはあるけど、それでも新番組のスタートに相応しい1話だと私は思いました。

ソルブレインは誰の心を救うのか

ウインスペクターのラストで、黒田鬼吉博士を救えなかったことから正木本部長は「人の命と心を救う」組織を作ることを決意していました。

私、この場合の「」とは犯罪者のことを指すと思っていました。

でも今回見直してみて、ソルブレインが救おうとしているのは「犯罪に関わってしまった全ての人」なのではないかと考えました。

そこには犯人もいれば被害者もいる。

微妙なラインだと思うんですが、1話だと稲垣博士はA320を操って犯罪をしたわけじゃないんですよね。あくまで研究していただけで。

犯罪者の心を救いたいなら心理カウンセラーみたいな存在が必要になると思ってました。

でもソルブレインが人の心を救うためには、稲垣博士と息子を助けたように「人命」を救うことが第一。

人間の心なんてどうやって救うのか、そんなこと本当にできるのか。

スタッフも確信をもってそれができると考えてたわけじゃないと思います。

ソルブレインは一年を通して「心は救える」と訴えるんじゃなくて、それが可能なのかどうかを視聴者に問いかけてくる作品です。

だからウインスペクターと比べるとカタルシスは少ないかもしれない。

でも逆に、人生への問いかけを描いた名作文学のような普遍性が今作にはあります。

前にソルブレインを見たのは20代でしたが、今見るときっと感じることも違っていると思う。

ソルブレインが救おうとしたのは誰だったのか、その辺りにも注目して視聴していきたいですね。


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