第15話作品情報
超獣戦隊ライブマン
第15話『必殺! 死神ガッシュ』
放送日:1988年6月4日
監督:東條昭平
脚本:井上敏樹
登場怪人:ファイヤーヅノー、ロボットS1(ハナコ)
あらすじ
最新ロボットS1に組み込まれた鉱石を狙うビアスは、ガッシュにその任務を与える。
S1は逃走する中で、丈に出会うが……
感想
初のガードノイド・ガッシュがメインの敵となるエピソード。
ひたすらS1と丈を追いかけてくる姿は、「ターミネーター」第1作の悪役だったT800を彷彿とさせる。
物語の序盤でS1が逃げ出した研究所。その後出てこないがどうなったのだろうか?
S1を解析した勇介達がどこで作られたかわからないと話していたことから、世間には公表されず開発されていたのだろう。
そのことが尚更S1の孤独を感じさせる。
三大幹部にアシュラを加えても、一番強かったのはガッシュということが発覚。
ビアスの信頼も一番厚い。
深読みすれば、この時点でビアスは幹部たちを信頼していないことがわかる。
そのガッシュは銃を武器に襲ってくる姿が実に様になっていてかっこいい。
現在の作品に出たとしても通用するカッコよさだと感じた。
ただ強い割には、生身の丈が投げつけたドラム缶でダメージを受けているのが不思議。
ドラム缶が強いのか丈が凄いのかガッシュの装甲が痛んでいたのか……
一応ファイヤーヅノーが出てくるが、その存在は完全におまけ程度。
これならばガッシュだけにキャラクターを絞ってもよかったと思う。
丈と心を通わせその身を散らしたS1の姿には泣ける。
レッドファルコン達の制止を振り切り戦うイエローライオンの台詞が熱い。
ゴーカイジャーのゲスト出演で丈が「友の魂だけでも」と言っていたが、その友とは恐竜のゴンやダミーマンの田中、今回のS1のことも含んでいたのだろう。
ビアスに忠実で信頼されているガッシュ。
バグで感情に目覚めたS1。
正反対のようで、誰かのためにその身をかけて戦った二人のロボットの姿が印象的な回だった。
なお、井上敏樹氏はジェットマンでも敵のロボット幹部グレイがジェットマンをひたすら追いかける話を描いている。
また、グレイに思いを寄せるロボットが人知れずその身を散らすエピソードもあった。
それらの話と今回の話を見比べて見るのも面白いだろう。
しかし井上敏樹氏は自作のテーマを聞かれた際に「愛」とテーマ第一主義への批判を込めて語っていたというが、今回や第9話を見ると氏の脚本には愛が満ちているように感じられた。
第16話作品情報
超獣戦隊ライブマン
第16話『キョンシーの手紙』
放送日:1988年6月11日
監督:長石多可男
脚本:曽田博久
登場怪人:プラズマヅノー
あらすじ
突然出現したキョンシーの集団に襲われた勇介と丈。それは科学アカデミアの犠牲者の魂を利用したボルトの作戦だった。
その最中、勇介はかってマゼンダ・仙田ルイに送ったラブレターのことを思い出す。
感想
80年代後半に人気を博したキョンシーを取り入れたエピソード。
また、メインライターの曽田氏が手掛けたため主要キャラの過去にスポットが当たる話でもある。
今回登場するのはプラズマヅノー。オブラーが付き添っているが、能力を説明しているのはケンプ。
作戦の指揮はどっちがやっていたのだろか?
しかしボルトが死者の魂を作戦に使うとは驚き。
オカルトとかそういうのを真っ向から否定しそうなのがボルトなのに。
もしかしたらボルトは、「研究」という分野にかけてはわりと柔軟な考えの組織なのかもしれない。
ライブマンは冒頭で勇介と丈がパトロールをしている。
その最中に丈がナンパするが、その時の台詞が時代を感じさせる。
今回の見所は何といってもラブレター求めて奮戦する勇介。
その行動理由が実人間臭くて実にいい。
結果的にラブレターをボルトに見つけられてしまい、公開処刑のような仕打ちを受けてしまう。
しかし、それを「青春の間違い」と受け入れてくれるめぐみと丈の姿が温かい。
競うばかりのボルトの三人と、互いを支え合うライブマン三人。
うまく対比になっていた。
しかし今までも描かれてはいたが、仙田ルイは科学アカデミア入学当初から傲慢な人物だったようだ。
ひょっとしたら、物事に取り組む姿勢が厳しいだけで本音では科学を役立てたい気持ちを持っていたのかもしれない。
そうだとしても、今まで見た限りでは最初から人間性に難があった人物に思える。
ライブマンでは何が敵の三人を変えたのか、勇介達が考えるシーンが今回も含め度々描かれる。
だが仙田ルイに関しては、最初からそういう人物だったとしか思えない。
深読みすれば、勉強しかやってこなかった結果こういう人物になってしまったということだろう。
ルイの過去は今のところ描かれていないが、彼女もまた学歴社会に人間性を狂わされた被害者だったのかもしれない。
あるいは、もしかしたらビアスも……