第5話 作品情報
超獣戦隊ライブマン
第5話『暴走エンジン怪獣』
放送日:1988年3月26日
監督:山田稔
脚本:曽田博久
登場怪人:エンジンヅノー
あらすじ
パトロール中に、二年前に殺された矢野卓二の弟・武志に出会う勇介たち。
武志は、兄が残した設計図に記されていた車を完成させて欲しいと勇介に頼む。
その頃ケンプは、エンジンヅノーに車を暴走させ社会を混乱させようと企んでいた。
感想
4話に引き続き山田稔監督がメガホンを取ったエピソード。
ライブクーガーが初登場。
死んだ卓二の弟が登場するが、後々さらにもう一人兄弟がいることが判明する。
当初は三人戦隊で一年間貫く予定だったのが、放送開始後に変更されたので恐らくこの時点では矢野鉄也の設定は無い。
パトロール中にハンバーガーを食べるライブマン。
前回ビーフシチューで時間を取られたので、手軽に食べられる食事にしたのだろう。
細かい場面だが、前の話からの繋がりを感じる。脚本と監督が連続して担当した話ならではだ。
武志に兄の設計図から車を作ってくれと頼まれる勇介。
めぐみと丈は乗り気でないが、勇介は武志の頼みを聞き入れようとする。
4話辺りから今作にもコミカルさが出始めたが、5話でもそれが出ている。
ガッシュに車のエンジンに命を吹き込めと命令するケンプ。
意外に思ったのがケンプは「メカ」に「命」を与えろと言っている。
人間の命を何とも思っていないケンプだが、別に命という概念まで捨てたわけではないようだ。
また、科学者なのでメカには彼なりの思いがあるのかもしれない。
誕生したエンジンヅノーが忍び込んだは勇介と武志がいるガレージ。
寝言を漏らす勇介に「何だ寝言か」と呟く姿はどこか可愛い。
翌朝、勇介に会いに行くめぐみと丈。
めぐみの自転車にスケボーに乗って捕まる丈だが、これも今じゃできない構図だろう。逆に、まだまだ大らかだった時代を感じられていいと思うのだが。
エンジンヅノーは完成した車に取りつき、勇介を乗せて暴走し丈を追いかける。
「俺だってお前の汚ねえ尻なんて追っかけたくないんだ!」という勇介の台詞は笑ってしまった。
ケンプの狙いは車社会を混乱させること。
アカデミアの襲撃から前回を経て、ボルトのやりたいことがようやく見えてきた。
自動車の上で繰り広げられるスピーディーなアクションは見応えがある。
エンジンヅノーに対抗するため、卓二の設計図を元にライブクーガーを作る勇介たち。
強化服もそうだが、ライブマンは亡き友と一緒に戦っていることを気づかされる場面だ。
ライブクーガーで(いつもの採石場に)エンジンヅノーを追いつめるライブマン。
エンジンヅノーの能力は厄介だが、直接戦闘向きの怪人ではなかったのだろう。
新しい戦力を得たライブマンの戦いは続く。
今回の見どころは勇介のキャラクターだ。
どちらかというと「しっかりとしたまとめ役」の印象が強かった過去のレッド。
だが、今回の勇介の描写は「カーレンジャー」以降少しずつ登場するようになったコミカルさを持ったレッドを彷彿とさせる。
既に俳優としてキャリアのあった嶋大輔さんの演技力あってのものだが、時代を考えれば凄く斬新に見えるレッド像だ。
また、これまでのパターンを破りたいという制作側の思いもあったのではないかと考えられる。
今ではすっかりなくなってしまったが、昔の戦隊にはロボの他にバイクや車などのマシンもあった。
移動手段を考えればあるほうが当然なのだが、時代の変化とはいえマシンを出せないのはやはり寂しい。
マシンを駆るヒーローに憧れて車やバイクに興味を持つ子どもだっているはずなのだが……
第6話 作品情報
超獣戦隊ライブマン
第6話『襲来! 生きた恐竜』
放送日:1988年4月2日
監督:東條昭平
脚本:曽田博久
登場怪人:タイムヅノー、恐竜ゴン
あらすじ
時間を操る頭脳獣・タイムヅノーは、恐竜時代から一匹の恐竜を連れ帰った。
しかし、偶然その恐竜を見つけてかくまった少年と恐竜の間に友情が芽生える。
感想
6話と7話は前後編。メガホンを取ったのはライブマン初参加となる東條昭平監督。
前作「光戦隊マスクマン」から引き続き戦隊を担当し、テンポよい演出に定評のある監督だ。
いきなりタイムスリップに成功するタイムヅノー。
今回の作戦目的は恐竜を現代に連れてきて暴れさせること。
二年前の作品である「超新星フラッシュマン」では時村博士が苦労してタイムマシンを実験していた。
それを容易く完成させるオブラーの頭脳とボルトの科学力は凄い。
タイムヅノーは恐竜時代で本物の恐竜に驚く。
怪人のあんたが驚くんかい! と突っ込みをしたくなるがご愛嬌といったところだろう。
三日月山に恐竜が出るという噂を調査しに来た勇介たち。
詳しく語られていないが、裏にボルトの企みを感じたのだろうか。
恐竜・ゴンと健一少年が登場。
ゴンが丈の尻に噛みつく場面がユニークだ。ただ、ゴンがどうしても作り物に見えるのが残念。
山小屋で治療を受ける丈。
恐竜学者だった健一少年の両親は既に亡く、祖父と偶然ゴンを見つけたことが語られる。
勇介は自分も恐竜に生きていて欲しいと語る。
勇介の立ち位置は、視聴者である子供と同じ場所にいて身近な存在に感じられる。
後年、恐竜を仲間に持つ後輩がたくさん出てくるが勇介はどう感じたのか気になるところだ。
空間が歪み、勇介たちの前にタイムヅノーが現れる。ゴンを現代に連れてくる途中ではぐれたらしい。
本人は気づいていないだろうが、恐らく詰めの甘い怪人なのだろう。
しかし、戦闘では時間を操る能力でライブマンを苦戦させる。
よくよく考えれば時間操作などラスボスが使っても可笑しくない能力だ。
ライブマンはタイムヅノーの針を狙う戦法をとる。
この辺りの判断の速さは、三人が科学者であることが活かされていると思う。
タイムヅノーにゴンを元の時代に戻させると提案する勇介。
健一はそれに反対しゴンを連れ出してしまうがボルトに襲われる。
ライブマンを援護するためコロンがライブクーガーに乗って現れる。
コロンがただのマスコットになっていないのがいい。
戦隊の人数が三人に減ったことで、逆にそれ以外のキャラクターに見せ場を与えようという意図があったのではないか。
ライブクーガーはコロンが使っているイメージが強い。
タイムヅノーにゴンを元の時代に戻せと迫るレッドファルコン。
しかし、能力を利用され窮地に陥る。
戦いの中、健一を庇ったゴンが倒されてしまう。
怒りに燃えるライブマンはタイムヅノーを倒す。
この回からスーパーライブクラッシュの背景に波の映像が追加されている。
何故波なのか考えてみたが、命が生まれた場所が海でありライブロボは命全ての守護神というイメージなのかもしれない。
健一はゴンを連れて逃げようとするが、オブラーの追跡は続き7話へと繋がる。
てっきりゴンが死んだと思ったので普通に生きていたのにはちょっと驚いた。
だったらタイムヅノーを倒さなくてもと思ったが、生かしていても結局ゴンを元の時代には戻さなかっただろう。
4話がめぐみとルイの因縁、5話が卓二の残したもの。これまでのエピソードには過去からの繋がりがあった。
この6話にはそれがなく、本格的な作品のスタートを感じさせる。
健一の祖父を演じたのは大ベテラン俳優の高杉哲平さん。
戦隊のみならず、円谷プロ作品への出演も多い。
また声優として「機動戦士ガンダムF91」でマイッツァー・ロナ役を演じられたこともトピックス。
マイッツァーはヒロイン・セシリーの祖父でクロスボーン・バンガードの創立者だ。