作品情報
超獣戦隊ライブマン
第1話『友よ君達はなぜ?!』
放送日:1988年2月27日
監督:長石多可男
脚本:曽田博久
登場怪人:なし
あらすじ
世界中から選ばれた優秀な若者が集う「アカデミア島」。
その中核である「科学アカデミア」の大規模プロジェクト・宇宙衛星スペースアカデミア号の打上げの日に「武装頭脳軍ボルト」が襲来する。
次々とアカデミア島を破壊するボルトの前に、3人の若者がライブマンに変身して立ち向かう。
感想
当時はゴレンジャーとジャッカー電撃隊が戦隊に含まれていなかったので、シリーズの記念すべき10作目として放送されたライブマン。
雨宮勇介役の嶋大輔氏の歌う主題歌は、個人的に戦隊シリーズで一番好きな主題歌だ。
物語のスタートの時点で主人公たちが学生というのはシリーズ初。
そのため、これまでの作品以上に登場人物たちの新鮮さが強調されている。
授業中に堂々と教室を出ていく月形たち。
ルイに至っては「愚かな人間のことなど考える必要はない」と言い放つ。
こんな態度をとれば退学ものだろうが、既にボルトに行く決意を固めているので関係ないのだろう。
卓二と麻里と共に実験に励む勇介たち。
後に出るヒーロー側の装備に、きちんと開発の過程があったことを示す場面。
仮面ライダーXやスーパー1のように元々戦闘用でないヒーローの前例はあるが、ライブマンの場合は前史となる部分が描かれている所にヒーローの存在のリアリティが感じられる。
ボルトの宇宙船に乗り込む所を目撃され卓二達を射殺する月形。
ついさっき爆発にも耐えたスーツを簡単に破壊する所にボルトの科学の強大さが見てとれる。
冒頭でいきなり犠牲者が出る悲劇的な始まりは、実はゴレンジャーに通じるものがある。
当時はカウントされていなかったとはいえ、やはりどこかで意識はされていたのかもしれない。
二年後。
死んだ二人の墓にスペースアカデミア号の完成を報告する三人。
恩師である星博士もやってくる。
ベテラン俳優である伴大介氏の優しさあふれる芝居が印象的。
嶋大輔氏もウルトラマンコスモスで若者を導く隊長役を演じ、西村和彦氏もゴーカイジャーでゴーカイブルーを導く成長した大原丈を演じた。
メタ的な話で恐縮だが、ヒーローの絆というかそういうものを感じられて感慨深い。
スペースアカデミア号の発進を待ってました言わんばかりに襲来するボルト。
その間勢力を整えていたのだろうが、残虐非道なことこの上ない。
考察するなら、スペースアカデミア号の発進は世界的なニュースになっていたのだろう。
これから人類に戦線布告するにあたり、ボルトにとってこの日は力を見せつける一番良いデモンストレーションの日だと考えて侵略してきたのではないだろうか。
丁寧に科学アカデミアの様子が描かれていたので、多くの死者が出る場面に胸が痛む。
逆に、それだけ今作にかけられた気合いの大きさも伝わってもくる。
爆発の中を進む三人。自転車に乗っているいるめぐみだが単純に危ないと思うぞ。
ボフラー戦闘機から降りてきて二年ぶりに勇介達と再会する月形、ルイ、尾村。
回想でビアスと出会う場面が描かれるが、様子を見るに三人がビアスに会ったのはヅノーベースがはじめて。
ではどうやってビアスは三人をボルトに引き込んだのだろうか?
姿を見せず、何かボルトの科学力を見せつける成果を披露したのだろうか。
ビアスの頭脳は、三人を洗脳といえるくらい心変わりさせてしまうほどの力を持っていたのだろう。
三人とも優秀過ぎる分、自分たち以上に優秀なビアスに心酔する気持ちはわからなくもない。
月形とルイが身体を強化されているのに対し、尾村はそのままなのが三人の序列を表している。
二年の月日があったのはお前たちだけではないと変身しライブマンになる三人。
しかし、戦闘員のジンマーにも苦戦を強いられる。
戦隊シリーズでは苦戦しながらも1話で敵を撃退するのが流れだったが、そのパターンが破られた。
あくまで勇介たちは戦闘の素人だと強調してある。
1話で敵を倒せなかった作品としてはライブマンの前年に放送された超人機メタルダーがある。
ライブマンの場合は1、2話が前後編なので厳密には「倒せなかった」とは違うが、徐々にヒーローの苦戦でスタートする展開作りも模索されはじめていたのではないか。
こうした流れは後続の作品にも少なからず影響を与えている。
ランドライオンの走行場面は今見ても凄まじくカッコいい。
本当に滑らかに走っていてCG以上の説得力があるといっても過言ではない。
このランドライオンの活躍があるので、ライブマンがやられっぱなしの印象になっておらずバランスのとれた戦闘になっていたと思う。