※写真掲載については各ブースのスタッフ方に確認の上で掲載しています。
はじめに
子どもの頃住んでいた場所は都会から遠く離れた田舎でした。
高いビルのある都会など外国のようにさえ思えるほどの田舎町。
そんな街でも、かろうじてあったコンビニでは少年ジャンプや少年サンデーなどの漫画雑誌が売られていました。
私自身は元々、ウルトラマンやロックマンが好きで小学生になると講談社から発売されていたコミックボンボンを定期購入していました。
後に友達の影響でミニ四駆にはまり、その友達が読んでいたのをきっかけにコロコロコミックも買うようになりました。
小学校入学前から好きだったドラえもんの漫画が読めるのが楽しみでした。
年齢がバレますが私が小学生の頃に「ポケットモンスター赤・緑」が発売されました。
最初はあまり興味がありませんでしたが、徐々に学校で盛り上がっていくポケモン人気に乗り私も緑を購入し最初のアニメ映画「ミュウツーの逆襲」を映画館に観に行きました。
その頃になると、自分が暮らしている町が田舎でとても不便な場所であることを自覚するようになっていました。
それまでただゲームや漫画が手元にあれば満足できていたのにそれでは飽き足らない気持ちが芽生えていました。
雑誌を見れば東京や大阪で大きな会場を使って玩具の展示イベントが行われている……
羨ましかったですね。
一番心から玩具やキャラクターに夢中になっている年ごろなのに何もできない気持ち。無力感とも絶望とも違う言葉にできない思い。
「どうして僕は行けないのだろう」と寂しい思いをしていた記憶があります。
最も、イベントというものが一部の地域でしか開催されない以上はそういう思いをしていた子どもは、いつの時代でもイベントに行けた子の数より多いはずなんですが……
やがてボンボンやコロコロコミックを卒業する年齢になります。
月日は流れ私も大人になり、幸運なことにある程度色々な場所に行くことはできました。
それでも、心のどこかには「子どもの頃あの時あの場所に行きたかった」という気持ちがありました。
ある日、駅に貼られた一枚のポスターが目に留まりました。
次世代ワールドホビーフェア
小学館グループが主催で開催する、コロコロコミック掲載のコンテンツを中心とした玩具やゲームの大規模なイベントです。
「行ってみようか?」
ポスターを見た瞬間私は思いました。子どももいないのに。
何より今コロコロコミックで展開されているコンテンツを私はほとんど知りません。
せいぜい、アニメを見ているゾイドワイルドゼロと昔から知っているドラえもんがわかるくらいです。
それでも、翌日にはドームに向かっていました。
「何のために行くのだろう?」
会場に向かう途中でずっと考えていました。
カルチャーショックに圧倒される
会場に着いたといっても特に目的があるわけではないのでブラブラ歩いていました。
熱心に目に焼き付けたいものがあるわけでもない、グッズが欲しいわけでもない。
褒められた時間の使い方ではないと自覚しながらも、一通り見て回りました。
私がコロコロコミックを読んでいた頃のコンテンツと言えばミニ四駆やビーダマン、ポケモンやスーパーマリオでした。
ポケモンに関してはもはや説明不要ですが、目にしたことのない多くのコンテンツにカルチャーショックを受けました。
あまりの玩具の数に圧倒されましたね。
同時にこれだけの数すら、世の中にある多くのコンテンツの一角に過ぎないことに改めて衝撃を受けました。
いや、当然のことなんですが……
会場には多くの親子連れがいました。
楽しそうにしている子もいれば、泣いている子に手を焼く親御さん。
見て回っているうちに何故か私は両親のことを思い出しました。
我が儘ばかり言って「あれも欲しいこれも欲しい」と言っていた私にできるだけのものを買ってくれた両親……
今思うと、子どもとは言え随分苦労をかけてしまったと思います。それでも私のためと思い色々としてくれたことに感謝せずにはいられませんでした。
玩具のイベントでこんなことを考えるいい年齢した大人なんて奇妙でしょうね。だけど、そう思わずにはいられませんでした。
ポケモンを見ながら
初代ポケモンが登場したのがもう20年以上前ですか……
時間の流れるのは早いものです。
当時はゲームだけじゃなくてアニメに関連した書籍やコロコロコミックで連載されていた漫画の単行本、よく覚えていませんがカードゲームなんかも買いましたね。
自分はミュウツーが好きだった記憶があります。
ポケモンは初代しかやったことがないんですけど自分が持っていないポケモンを捕まえてコレクトする感覚はやはり楽しかった記憶があります。
同時期はポケモンのようにコレクトする楽しみを打ち出したゲームも色々あったと思いますが、今現在も続く人気を改めて感じました。
ヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネ、とても可愛い。これは子どもに受けるはずだと今更ながら思います。
そうそう、ポケモンのアニメの第一話でこの金色のパッケージに描かれている鳥のポケモンみたいなのが出たのは今でも覚えてます。
1999年になると自分の中でポケモンへの興味が無くなっていたんですが、結局あのポケモンは何だったんでしょうかね?
ゲームをほとんどしなくなって随分になります。
だから最近のゲーム業界の状況はわかりませんが、小さい頃に楽しませて頂いた最初の世代としてポケモンにはこれからも子ども達を楽しませて欲しい、そう思いました。
やっぱり好きだよドラえもん
最初の出会いは覚えていなくても、遠い昔から知っていたようにドラえもんは気が付けばそこにいました。
こんな書き方をしたくなるくらい、ドラえもんという存在は小さい頃の私にとって友達のようなものでした。
レンタルビデオ店でドラえもんの映画を何度借りて見たことかわかりません。親に映画館にドラえもんの映画を観に連れて行ってもらいました。それくらい好きでした。
一番好きなドラえもんの映画は「のび太の宇宙小戦争」
プラモデルで宇宙人と戦うという話に子ども心をくすぐられました。また武田鉄矢の歌う主題歌が素晴らしいんですよ。
先に述べたように、今コロコロコミックでどんなコンテンツが展開されているのか知りません。
その中で、ドラえもんだけはどういったものなのか知っています。
それは恐らく会場にいた多くの親御さんもそうでしょう。
会場を周り、多くのゲームや玩具を見る中で最後にドラえもんを見て感じたことがありました。
「売りとなるコレクターアイテムが無くても人気の衰えることのないドラえもんの凄さ」
これが私が感じたことでした。
ドラえもんにはたくさんの秘密道具が出てきますがそれらは集めたり組み替えたりするたぐいのものではありません。
だけど、ドラえもんの人気は衰えることを知りません。
何故なのかと思いました。
詰まる所、やっぱりキャラクターの魅力なんだと思います。
ドラえもん、のび太、スネ夫、ジャイアン、しずかちゃん、みんな知らない人はいないキャラクター達です。
特に映画版で感じることなんですけど、彼らがどんな冒険をしてどんな活躍をするのかずっと見ていたい、一緒に旅をしたい、小さい頃からずっとそう思っています。
キャラクターに普遍性があるからこんなに長く愛されるのだとこの会場に来てみて思いました。
今はドラえもんは一年に一回テレビで放送される映画を見るくらいなんですけどやっぱりいいなあと思います。
童心に帰れるとか懐かしくなるとかじゃないんです。
しいて言えば安心…… でしょうか。自分はどんどん年齢を重ねていくけどドラえもんは変わらずそこにいてくれる。
これからもずっと。そんな感じがするんですよね。
およそ場違いな場所にいる自分でも、ドラえもんを通して確かにこの場所と繋がっていることを感じられる…… そんな風に私は思いました。
人生はどこかで帳尻が合うもの
色々考えたんですけど、私がやりたかったことは多分子どもの頃に行けなかった場所の思い出を拾うことだったんだと思います。
人生は過去に戻ることはできませんが、今を生きることでどこかで抜け落ちたものを拾うことができる場合もあります。
会場を後にするとき、どこか気が済んだような気持になったことを覚えています。
子どもの頃の大抵のことは忘れていくものです。だけど、自分でも気が付かないうちに心のどこかで遠い昔の思い出を求めていたのかもしれません。
今回、次世代ワールドホビーフェアの開催を知ったのはたまたまでしたが一つだけわかったことがあります。
例えその時はダメでも人生にはどこかで帳尻が合う時がやってくる
子どもの頃の自分に会えたら言ってあげたいですね。「心配しなくても君は行きたい場所にいけるよ」って。
それこそドラえもんのタイムマシンがあれば。
でも、心の奥底にいる小さい頃の自分にとっては今を生きる私がドラえもんになれるのかなと思えたそんな一日でした。